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思いっきりギターを掻き鳴らし、寺口宣明(G・Vo)が「イェーー」と叫ぶ。福島由也(Dr)の力強いエイトビートと、カワイリョウタロウ(B)の前のめりなベースが走り出す。衝動に溢れたこのオープニングで一気に心を掴まれた。昨年メンバーの脱退という転機を迎えつつ、メンバー全員が地元群馬から上京。ニューアルバム『RE:BIRTH』は、タイトル通り新天地で再スタートを切ったバンドのエネルギーが迸っている。とはいえ、ただ眩しいだけではない。跳ねるビートが軽やかなロックンロール“sissy”などアッパーな楽曲で幕を開け、後半は徐々にエモーショナルな展開へ。シティポップに乗せて憂いのある夜を描く“WONDER LAND”、切なさと焦燥感がこみあげる“B.O.Y.”、柔らかなバラード“あのまちこのまち”で《あの町を出ましたあれやこれを捨てて》と決意を語り、最後に“BIRTHDAY”で《生きていれば/何度もはじめたっていいじゃない》と歌う。夢も現実も両方抱えて進む、血の通ったロックアルバムだ。(後藤寛子)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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