Broken Youth前作シングル『THE BUNGY』でバンドとしての加速ぶりをアピールしてみせたNICO Touches the Wallsが、≪最終的に全てはありふれていく/先生、あんたは裏切りもんだ/今すぐ プリーズキスミー≫と愛情と憎悪をレッドゾーンまで振り切った、今作のタイトル曲“Broken Youth”――圧倒的にグラマラスな色気満載の彼らのサウンドを支えているのは、その一瞬のダイナミズムとスピード感に全身全霊を傾ける暴発寸前の意志だ。切なさや哀しさ、やるせなさといったセンシティブでフラジャイルな情感には見向きもせず、むしろそういったセンシティブでフラジャイルな自分自身を突破するために、己の内の焦燥感や違和感を燃料に変えて闇の中へ突進しなければならない、という切迫感が、“Broken Youth”には鳴っている。≪仕方ないから雪を降らせましょう/また明日 太陽の下で愛し合うまで≫と目眩がするほど美しい風景を歌うM2“夏の雪”も、現代社会をピカソの名画になぞらえて10分間プログレ絵巻を展開する“GUERNICA”も、彼らのロックの純度と強度の証明としては十分すぎるほどの名曲。(高橋智樹)