根源的三分間

椎名林檎『カーネーション』

2011年11月02日発売

椎名林檎 カーネーション
《何も要らない私が今/本当に欲しいもの等/唯一つ、唯一つだけ》という言葉をそのまま音像化したかのように、ハープとストリングスを軸にして描き出される高純度なサウンドスケープ。Aメロとかサビとかいうテンプレートを一切かなぐり捨てて、「命」と「生」の儚さと喜びだけをシンプルでしなやかなメロディに乗せて提示していく、潔いまでに決然とした意志に満ちた楽曲構成……すでに朝の連ドラ主題歌として日本全国津々浦々でOAされている曲であり、ソロ名義では2年半ぶりとなるシングル曲“カーネーション”は、「ドラマへの書き下ろし曲」というきっかけを遥かに超越し、結果として椎名林檎というアーティストの根源を最もダイレクトかつ麗しい3分間の結晶として取り出すことに成功した名曲だ。特に、TVサイズで聴かせている「耐え忍ぶ『生』」の表情とは一転、《遥か空へ身を預けて/・・生きよう・・》と渾身の気迫とともに絞り出される彼女の歌声には、どんな轟音よりも激しく狂おしい戦慄を覚えずにいられない。まさに今、僕らが心から欲している音を、椎名林檎は紡いでくれたのだ。(高橋智樹)

最新ブログ

フォローする