「京都大作戦 2017」 1日目

無念の荒天中止から数えて10回目の開催となった、10-FEETの主催フェス「京都大作戦」。バンドの結成20周年にもあたる今年は、史上初の3日間開催である。フェスの模様を1日ずつ、駆け足で振り返ってみたい。初日の7月7日には、この日限定で縁日や祭櫓のDJも楽しめる「七夕祭」が会場内で行われ、ライブ本編は13時からスタートした。
「京都大作戦 2017」 1日目 - My Hair is Bad Photo by HayachiNMy Hair is Bad Photo by HayachiN
大規模ステージとなる源氏ノ舞台で、トップバッターを務めたのはMy Hair is Bad。2015年の大作戦出演時、当時の彼女のお母さんが10-FEET好きで受けが良かったという椎木知仁(G・Vo)のエピソードといい、「俺はもっと、どんどんいい男になってやる! 後悔しろ!」と喚く“元彼氏として”といい、彼らしい激情とギラギラのサウンドが渦巻くステージだ。一方、牛若ノ舞台ではヤバイTシャツ屋さんが登場。こやまたくや(Vo・G)が地元・宇治出身というアドバンテージもあってか、“無線LANばり便利”からの“喜志駅周辺なんもない”で清々しいぐらい見事にコール&レスポンスを決めてみせる。
「京都大作戦 2017」 1日目 - 竹原ピストル Photo by みやざきまゆみ竹原ピストル Photo by みやざきまゆみ
源氏ノ舞台2番手は竹原ピストル。たった一人、アコギ一本で途方もない重量感と強力なグルーヴを立ち上らせるパフォーマンスは、新作『PEACE OUT』の“ドサ回り数え歌”であっという間にオーディエンスを釘付けにしてしまった。この直後にリリースされたライブEPでも触れることができる日本語カバー“Amazing Grace”は、衝撃的にして感涙必至の一曲。そして夜の本気ダンスは、こちらも京都出身バンドとしてステージに立つ喜びと熱意を告げながら、その名とは裏腹に白昼のダンスタイムを作り上げていった。
「京都大作戦 2017」 1日目 - サンボマスター Photo by HayachiNサンボマスター Photo by HayachiN
山口隆(唄とギター)が10-FEETと大作戦の10周年にかけて「帰れま10(テン)! 帰れま10! ミラクルを起こすまで、帰れま10の人〜っっ!!」と力技の煽り文句を投げかけるサンボマスター。祝祭感に映える爆音“オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで”の熱演も光る。一方でCreepy Nutsは、DJ松永の軽やかなターンテーブル捌きと、オーディエンスからお題を集めてフリースタイルラップで沸かせるR-指定の、ロックフレンドリーなブレイクビーツも多用するパフォーマンスが楽しい。
「京都大作戦 2017」 1日目 - Nothing's Carved In Stone Photo by HayachiNNothing's Carved In Stone Photo by HayachiN
Nothing’s Carved In Stoneは、村松拓(Vo・G)がバンド結成間もない頃から温めてきた10-FEETとの交流を振り返りつつ、4人のサウンドが獰猛に暴れまわる“Honor is Gone”や、逃れがたい推進力にロマンを宿らせる“In Future”できっちりと進化の証明を果たしていった。そして打首獄門同好会は、ステージに持ち込まれたスクリーンに某有名スナック菓子の多種多様なパッケージを映し出しながら放つ爆笑エクストリームサウンド“デリシャスティック”がウケまくるのだが、ここでちょっと強めの夕立に見舞われてしまう。
「京都大作戦 2017」 1日目 - SiM Photo by HayachiNSiM Photo by HayachiN
晴れバンドのSiMが源氏ノ舞台に立つ頃には一旦雨も落ち着き、MAH(Vo)が「頑張れば夢は叶うとか、そんな無責任なことは言いたくないけど、照れながらでも、夢あります、って言えるような生き方をして欲しいと思います」とメッセージを投げかけた後には、9年前に牛若ノ舞台で披露した“paint sky blue”を響かせる。天候まで味方につけるようなパフォーマンスだ。そしてこの日、牛若ノ舞台でトリを務めたのは四星球。再び激しく降りしきる雨の中でメンバーは祭りハッピをずぶ濡れにしながら、来るメジャー1stシングル(13トラック収録!)より“お告げ”も放って沸かせていた。
「京都大作戦 2017」 1日目 - 10-FEET Photo by HayachiN10-FEET Photo by HayachiN
「京都大作戦 2017」 1日目 - 10-FEET Photo by みやざきまゆみ10-FEET Photo by みやざきまゆみ
そして源氏ノ舞台を締めくくるのは、もちろん10-FEET。のっけからの“RIVER”で、ぬかるんだフィールドのオーディエンスが笑顔のまま揉みくちゃになる。TAKUMA(Vo・G)が「9年目も8年目もー! 2年目も3年目も大事やったしー! 今年が最後やと思って頑張るぞーっ!」と覚悟を迸らせると、一転してじっ、と聴き入るオーディエンスも数多く見受けられる“火とリズム”へ。さらに、3人が口々に感謝の思いを伝えてからの“アンテナラスト”と、近作曲でじっくり熱いエモーションを練り上げていった。

「正しいことがいつも正しいとは限らん! 優しく接することが、優しいことにならへんこともある!」と投げかけられる思いは、「去年も言ったけどー! 俺は一番大事なとこで、噛みます」という笑い混じりのオチになってしまったけれども、ここで披露される最新シングル曲“太陽4号”は、どこまでも想像力を広げながら掴み取ったメッセージを伝えてくる。さらにアンコールでは、KOUICHI(Dr・Cho)が「“TRUE LOVE”歌うんやけど、この前、本人(藤井フミヤ)と歌ってきてん。俺が言いたいことはひとつ! 夢は願えば叶う! SiMのMAHは違うこと言ってたけど、俺はそう思う!」と主張して、自信満々にオーディエンスと歌声を分かち合う姿が最高であった。(小池宏和)
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