CHAI/渋谷WWW

CHAI/渋谷WWW - All photo by 中磯ヨシオAll photo by 中磯ヨシオ

●セットリスト
1.ハイハイあかちゃん
2.N.E.O.
3.Sound & Stomach
4.ヴィレヴァンの
5.自己紹介
6.ボーイズ・セコ・メン
7.クールクールビジョン
8.フライド
9.フラットガール
10.ウォーキング・スター
11.あのコはキティ
12.ぎゃらんぶー
13.ほれちゃった
(アンコール)
EN1. sayonara complex


超絶ウルトラスーパーラッキーな約500人の観客がぎっしり詰まった渋谷WWW。このキャパシティのライブハウスで、今巷を騒ぎに騒がせているあのピンクの4人組のワンマンを観られるというのは、本当に幸運の極みだと思う。

開演予定時刻をちょっと過ぎた頃。客電がゆっくりと落ち、「CHAI 1st Album『PINK』発売記念『やっぱり育ちたいトゥアー』」の渋谷WWWワンマン公演がスタートした。
……と思ったらいきなり、ステージを覆う紗幕上方に掲げられたスクリーンにて謎のラジオ番組『CHAI-WAVE』がオンエア。今回の公演が写真OKである旨と餃子の差し入れがウェルカムであることが伝えられると、幕が下ろされステージが全貌を現した。

CHAI/渋谷WWW
「CHAI」の文字がかたどられた巨大な電飾をバックに、お手製の入場SEとともにピンク色の4人が登場。沸騰したやかんのような大熱狂で「喜」の雄叫びをあげている観客の歓迎っぷりが、彼女たちがすでに若きスターとなっていることを鮮やかに証明している。
フリフリなベビー帽(?)を被ったマナ(Vo・Key)&カナ(Vo・G)の双子がステージ前方に立ち、ヒップホップ調の“ハイハイあかちゃん”へ。本当に双子の赤ちゃんにしか見えないふたりが織り成すスイートボイスの掛け合いに耳と目が離せないが、ユウキ(B・Cho)&ユナ(Dr・Cho)の華奢な腕から繰り出されるぶっといグルーヴにも腰が離せない。4人の見事なコンビネーションや手つきに意識がもっていかれているうちに、体は勝手に横に揺れていく。初っ端からリスナーの心身のコントロールを握ってくるCHAI、やはりタダモノではない。

CHAI/渋谷WWW
CHAI/渋谷WWW
性急なハイハット使いと不穏なベースラインがスリリングさをもたらす必殺曲“N.E.O.”、カナ・ユウキ・ユナの3人が揃って首を左右に傾ける姿が愛らしい“Sound & Stomach”、初見の人なら「え、ボーカル人変わった?」とステージを三度見してしまうくらいのド太いボイスでマナがラップを畳み掛ける“ヴィレヴァンの”……と、CHAIの4人はライブ序盤からそのスキルとユニークさを思う存分食らわしてくる。マジで容赦がない。食らいすぎてこちらが思わず仰け反りそう……になったとき、“ヴィレヴァンの”を演奏し終えたマナが、実に屈託のない超満面の笑みを見せながら「テンキュ~~~!」と朗らかな声を投げた。このギャップ、まさに「NEOかわいい」だ。

CHAI/渋谷WWW
CHAI/渋谷WWW
メンバーが今更ながら『ミッション:インポッシブル』にハマっているというMCを経て、「トム・クルーズに『Wall ドン』、つまり『壁ドン』、されたいよね~」、「バット……ハンサムボーイ イズ バッドボーイ!(訳:しかし、かっこいい男は、だいたいセコい)」というお約束の流れに行きつき、“ボーイズ・セコ・メン”へ。100%メイド・バイ・CHAIの生音であることは間違いないとわかっているのに、それでも若い女の子4人で出している音とは思えないほどの音圧が、WWWの空気をビリビリ震わせていく。特にユナのドラムには驚かされた。シャキッと映えるスネアは最高に聴き心地が良いし、バスドラは客席後方の柵をも震わすくらいパワフル。そんなほっそい手足でどうやったらそんな音出せるのよ!とツッコミたくなるくらい、アタック力の強い素晴らしいサウンドを会場いっぱいに響かせていた。

CHAI/渋谷WWW
「もうみんな当然聴いてきてると思うけど、『PINK』ってコンプレックスが詰まったアルバムなのね」。数曲挟んだのちマナがそう語り、「みんなもコンプレックスあるでしょ?」とフロアを見渡す。するといくつかの手があがり、指名された観客が「まゆげが太い!」、「声が変!」と自身のコンプレックスを暴露。それに対してCHAIが「えー、お姉さんかわいいのに!」、「まゆげ太い方が、まゆげに目がいくからいいと思ってる!」、「それわかるー!」、「声かわいいじゃん!」、「『カードキャプターさくら』の桜ちゃんみたいじゃない?」、「つまりかわいいってことじゃん!」……と持論を展開しまくり、笑いが起きつつも観客たちを強く強く鼓舞していった。

CHAI/渋谷WWW
そして「コンプレックスがあるから、完璧じゃないからこのアルバムができました」と大切な言葉を言い、『PINK』のラストナンバー“フラットガール”を披露。繊細でピュアな声で切々と歌い上げられる《ねえ フラットガール/I'm not perfect/You're not perfect,/and nobody's perfect/みてほしいの》というフレーズは、まるで全世界の悩める女性たちに宛てられたあたたかな祈りのようだ。誰かを思って音楽を鳴らすCHAIの優しい心に、不意に涙腺がきゅっと締め付けられる。

CHAI/渋谷WWW
CHAI/渋谷WWW
いつもは「ぶー」コールに厳しいユウキ姐さんが一発でご満悦だったCHAI名物“ぎゃらんぶー”を終え、本編はメロウな“ほれちゃった”で締められる。餃子をテーマにした楽曲でありながらも、まるで桃のネクターのように甘くてとろっとろのギターメロディがたまらない夢見心地をもたらし、オーディエンスをもとろとろと横揺れさせていく。

CHAI/渋谷WWW
……先ほどマナは、「コンプレックスがあるからこのアルバムができた」と言った。でも個人的に『PINK』を聴いて思ったのは、CHAIはコンプレックスをコンプレックスじゃなくしていく=マイナスをマイナスじゃなくしていくという信念を掲げつつ、思いっきり幸せを掴んでいく=思いっきりプラスに振り切れるための音楽を、このアルバムで用意したんだなということだった。つまりコンプレックスという悲しみを浄化させるだけじゃなくて、幸せのど真ん中に飛び込んでいける、多幸感あふれるサウンドを『PINK』で形成したのだ。そしてその一番の証拠としてできたのがこの“ほれちゃった”だと私は思う。男勝りな音塊を打ち鳴らすCHAIがこの陶酔感のある音を出してきた時は本当に驚いたし、と同時に「なんて人をハッピーにさせるのが上手い女の子たちなんだろう」と深く感激させられたからだ。この日生音で奏でられた“ほれちゃった”もいうまでもなく、甘美な幸福感で会場を浸していった。

CHAI/渋谷WWW
アンコールを激しく求める超高速テンポの手拍子に耐えかねたのか、1分もしないうちに4人が再登場。「来年はもっと大きなステージでやって、もっと多くの人にCHAIの音楽を聴いてもらいたい! だから、見守っててね! 見てろよー!」とマナが一言添え、“sayonara complex”を演奏。ラストの《ラララ》ではマナも名残惜しいのか、ところどころに「テンキュ」というワードをこっそり入れ込む。爽やかでハートフルな余韻を観客にプレゼントし、CHAIの4人はステージを去った。

CHAI/渋谷WWW
どこを切り取っても幸せのピンクがぎゅっと詰まっていた、約1時間半のライブアクト。きっとライブが2時間、3時間と長くなっていっても、そして会場がどんどん大きくなっていっても、そのハッピーの濃度は変わらない。だって彼女たちの音楽は、会場からはみ出るくらいたくましく響いていて、餃子みたいに聴き手をやわらかくあったかく包み込んでくれて、なおかつ他を圧倒する新次元の「かわいい」を誇っているのだから。
誰もいなくなったステージに惜しみなく注がれる拍手と歓声を聴いて、ふとそんなことを確信したのだった。(笠原瑛里)

CHAI/渋谷WWW

終演後ブログ
CHAI、至福のピンクに包まれた渋谷WWW超満員ワンマン公演を観た
「『テンキュ~~~!!!』ってマナは叫びまくってたけど、テンキュって言いたいのはこっちだよ!」って感じの、めちゃくちゃときめきに満ちたライブだった。 渋谷WWWという箱にめいっぱいに広げられた、凄まじい圧の音塊と、スウィート&カラフルな歌と、大歓声と、メンバー&お客さんの笑顔と、ピンク色…
CHAI、至福のピンクに包まれた渋谷WWW超満員ワンマン公演を観た

最新ブログ

フォローする