knotlamp @ 赤坂BLITZ

knotlamp史上最大キャパの会場における、一夜限りのスペシャル・ワンマン・ライブ『THE GROWING SQUARE』。唐突に客電が落とされ大歓声が沸き、ステージに4人が姿を現した。「いこうぜトーキョォォォ!」というKEITのシャウトにも、気合が満ち満ちている。そしてオープニング・ナンバーの“LAST TRAIN -新しい朝-”で、ガッチリとしたバンド・サウンドが走り出した。クリスピーな節回しで聴かせるKEITの日本語詞も抜けがいい。のっけから「ウォーオ」と大きなシンガロングを誘っている。さすがにワンマン、出音の立ち上がりとメンバーの気合が混じり合って爆発を起こすような、ライブの展開に期待を募らせる素晴らしい幕開けだ。

序盤は『Sing against the stream』からの楽曲を続けて投下してゆく。TETSUNARIのテクニカルなメロコア・リフが弾ける“ずっと何処かに”では、早くもオーディエンスに歌メロをそのまま預けてしまっていた。ここでドラマーのAKIHIKO、「おれら今レコーディングしとって、日光を毎日5分くらいしか浴びない生活が続いとるけん、鬱憤が溜まっとるんよ。今日は思いっきり鬱憤を晴らしてフラットな気持ちでまたレコーディングに向かうけん、みんなも思い切り鬱憤を晴らしてな!」と語る。knotlampはこの日まで、東京で生活しながらレコーディング作業を行いつつ今回のワンマンの準備も進めるという、余りにタフな日々を過ごしてきていたのである。タワーレコードのパンク/ラウド系コンピに収録された新曲“Everlasting stars”にも、まるで火を噴くようなエネルギーが満ち満ちている。

「レコーディングはいい感じでね。金髪の人(AKIHIKO)が毎日ね、鍋作ってくれるの。普通、鍋やったらいろいろ具が変わるじゃん。ずうっと一緒」とKEIT。レコーディング期間の鬱憤ってのは、もしかするとそれか。一方AKIHIKOは、「昨日は、ライブ前ということで肉団子作って入れたの。おれらの力の源は鍋やから。でも、誰もおいしいって言ってくれん」。「いや、おいしいよおいしい」とTETSUNARIが小声でフォローするものの、「夜中にこっそり3人で吉野家に行ったり」とTOHRUがトドメを刺す。knotlamp、東京での日々も順調である。

ライブの中盤からはオールタイム・knotlampな選曲で、エモーショナルな側面も見せつつステージが進められていった。「みんな、今、イヤだったこと思い出して。いい?…よし…よし。じゃあ次は、それを発散しようぜー!」と“Across the sea”へ傾れ込んでゆく。そして、踊るようなギター・フレーズと歌メロが絡み合って疾走する“Perfect Holiday”は、彼らの作曲の懐の深さが表れたナンバーだ。「『THE GROWING SQUARE』ってのは、昔、九州をツアーするときのタイトルだったの。当時の曲を、今でもやるわけじゃん? 俺たちは間違ってなかったなって思える。ごめん、臭かったな。」とステージ・タイトルの意味について語るAKIHIKOであった。あっという間に辿り着いてしまった本編最後のナンバーは、黄金のシンガロング曲“A Star Tribe”だ。TOHRUのベース・ラインのみが響き渡るフロアで、多くのオーディエンスがメロディを口にする光景はいつ観ても美しい。

その“A Star Tribe”が歌われ続ける中で迎えたアンコールに、KEITが一人で登場する。「本当は、アコースティックでみんなでやろう、と言ってたんだけど、リハーサルした結果、アレンジが間に合わんかった。これが最後だと思うけど、一人で一曲だけ歌わせてください。……うわぁ、バンドがいいなあ。緊張する」とアコギでの弾き語り“Among my friends”を披露してくれた。メロディの芯の強さがわかる。そして他のメンバーを一人ずつ呼び込みながらひとしきりイジった後、再びバンドでのパフォーマンスとなったのだった。十代の頃にTETSUNARIがヤンキーに絡まれて「震度8ぐらいで震えてた」というネタは、本公演に向けてのスペシャル・ブログ『Road to THE GROWING SQUARE』上で、TETSUNARI本人も明かしていた話だ。

「ダブルアンコールということで、グワアーッと行ってもいいんだけど、一緒に歌ってくれる? 日本語だから心おきなく歌って!」とプレイされたのは“Flag”である。knotlampはアメリカのメロディック・パンク(特に、かつてステージを共にしたこともあるノー・ユース・フォー・ア・ネームなどFat Wreck Chords系の影響は大きい)の正統を引き継ぐバンドだが、日本語詞の曲と英語詞の曲を等価に紡ぎ上げてゆく技術にかけては、完璧にオリジナルな存在だ。「新しいアルバム出したら当然、でっかいツアーやります。あなたの街にも行きます! 飛脚便で!」というKEITの宣言には、日本の代表的なメロディック・パンク・バンドとして成長し続けるknotlampの自信が満ちていた。さあ、さしあたって次は、PUNKSPRINGだ。(小池宏和)


1. LAST TRAIN -新しい朝
2. Brilliant steps
3. ずっと何処かに
4. Everlasting stars
5. Booster
6. What should I do?
7. Another Escape
8. My steady faith
9. 夜空
10. Across the sea
11. Perfect Holiday
12. I found it
13. 遠くへ
14. We go alone
15. A Star Tribe

アンコール
16. Among my friends
17. All may not be real
18. The Limited World

ダブルアンコール
19. Flag
20. 時の行方
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