劇中で、互いに別々の孤独を抱えながらボクシングを通じて心を通わせる新次とバリカンを演じたふたり。菅田は、新次とバリカンがなぜ心を通じ合わせたのかについて自身の考えを述べている。
「新次とバリカンはふたりとも親との間に距離があるんです。お互い同じようなものが溜まってるんですけど、溜まり方が違う。(中略)でも、お互い誰かと強く繋がりたかったし、愛情であったり、欲っていうのが最終的にふたりが仲良くなった共通点のような気がします」(菅田)
インタビューではさらに、半年に及んだボクシングのトレーニングについても語られている。ヤン・イクチュンは辛かったトレーニングを振り返り、実際にボクサーと同じ生活をしたことで、プロのボクサーへのリスペクトを感じられたという。
「本物のボクシング選手はつまり体で生計を立てているわけですし、体を使って希望や夢を与えている方たちですよね。そういう方たちのエネルギーや熱量を身をもって感じました」(ヤン)
そして、今回の共演で感じたお互いへの想いをそれぞれの言葉で語っている。
「僕の場合は外国人だから翻訳された台本をもらって見るので、演技してる時でも一言一句全部理解するのはやっぱり難しいんですね。(中略)だから単語単語を察して、あとは肉眼で言葉以外のものを見ようとしていたんですが、そういう時でも菅田さんが言葉以外の部分でたくさんのことを与えてくれたと思います」(ヤン)
「(ヤンさんは)日本語を一言一句理解しているわけじゃないって言ってましたけど、ヤンさんの芝居はいわゆる普通に台本を読んでセリフを言いましたでは絶対にない、生き様を見せてくれるものでした。(中略)たった一度きりの、もう二度とできないであろう瞬間っていうものが見れた実感があります」(菅田)
国籍を越え実現したストイックな表現者ふたりの絆に迫った必見の記事である。なお、10月19日発売の『CUT』11月号では、『あゝ、荒野』後篇の公開を前に菅田将暉が登場。さらに岸善幸監督のインタビューも掲載予定なので、合わせてチェックしてほしい。