ついにツアー実現! 初の武道館、祝福と決意の「セレモニー」を観た!!
文=小川智宏 撮影=伊藤滉祐、小杉歩
アンコールの最後に鳴らされた“Teenager Forever”。MVも含めて僕はこの曲が大好きだが、何がいいって、ドシャメシャのサウンドのなかにロックバンドのロマンやメンバー4人の関係性、音楽への真摯な姿勢、そしてもちろん優れた演奏技術、それらすべてが無造作に詰め込まれているところだ。しかも、それをめちゃくちゃ直線的でシンプルなパンクチューンとして鳴らしてしまうのである。“Flash!!!”も“白日”もいいが、これこそKing Gnuだよな、と聴くたびに思う。
そんな“Teenager Forever”をセットリストのラストにもってきたということがすでに象徴的だが、新型コロナウイルスの影響による春のツアー中止を乗り越え、ついに実現したKing Gnuのツアー「King Gnu Live Tour 2020 AW “CEREMONY“」日本武道館公演は、この多様で複雑な時代と人類史上初めての困難に直面した状況にあってなお、ロックバンドというフォーマットがいかに人々の心を震わすものであるのかということをアツアツの状態で提示してみせる、最高のロックショーだった。卓抜したスキルと、それを凌駕するエモーション。メジャーデビューから約2年、ザ・ビートルズがこの場所で初めてコンサートを開催して以降、日本におけるロックの聖地として多くのミュージシャンの憧れの舞台であり続けてきたこの日本武道館のドアを、King Gnuはロックバンドとして正攻法で蹴破り、モノにしてみせたのだ。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年2月号より抜粋)