【JAPAN最新号】millennium parade、日本のポップミュージックの革命。デビューアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』全曲解説

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』4月号にmillennium paradeのデビューアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』の全曲解説を掲載!

2号連続徹底特集
日本のポップミュージックの革命
millennium paradeのデビューアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』全曲解説

文=小川智宏 撮影=Maciej Kucia


2月10日、ついにリリースされたmillennium paradeのファーストアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』。もちろんもう聴いているだろうが、改めてとんでもない作品である。素晴らしいアルバムや楽曲はたくさんあるが、「とんでもない」音楽にはそうそう出会えるものではない。とんでもないとはどういう意味かといえば、これまでの日本のポップミュージックのものさしで測ったのでは到底見えないものが、このアルバムを、そしてmillennium paradeというプロジェクトを可能にしているということである。ものすごく簡単な言葉でいえばここには世界の、いや宇宙のすべてがあるからである。

ジャンルを超えた音楽という文化の蓄積と、常田大希というひとりの男の個人史。millennium paradeという、バンドというよりはコレクティブやトライブと呼んだほうがしっくりくる集団が持つ社会としての構造と、それでもなお失われない青臭くて熱くてエモーショナルなバンド性。我々が今生きている時代のシリアスさ(それはコロナ禍がどうとかいうスケールの話ではない)と、そこから世界がどうなっていくのかというはっきりとした未来像、そしてそこに込められた願いや希望。野性的なリズムと科学的なサウンドデザイン、透徹したビジョンと啓示のような言葉がひたすら感情と理性を刺激し続けるこのアルバムは、現代秩序に向けられたある種の暴力であり、同時に人間と生命の営みに向けられた愛でもある。これがまぎれもないポップミュージックとして流通し、蔓延していく世界は、ただそれだけで魅力的だと思う。

……だんだん自分でも何を書いているのかわからなくなってきたが、要するに、それだけ興奮しているということだ。その興奮の赴くままに、このアルバムのすべてを勝手に読み解いてみたいというのがこの記事である。音楽は自由であり、人と人が関わりながら鳴らすという根源の時点ですでにひとつの祝福なのだ、というのが本作を貫く信念なのだとすれば、それをまた自由に語り祝福することこそが、このアルバムに対するもっとも誠実な向き合い方だと思って、まずは1曲ずつ書きなぐっていこうと思う。そのうえで最後に改めてこのアルバムの全体像を描き直し、それが我々に何を語りかけているのかを考えてみよう。(以下、本誌記事に続く)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年4月号より抜粋)



『ROCKIN'ON JAPAN』2021年4月号