【JAPAN最新号】SEKAI NO OWARI、最新アルバム完成直後、最速インタビュー! 11年目の真実を今、4人で語る

【JAPAN最新号】SEKAI NO OWARI、最新アルバム完成直後、最速インタビュー! 11年目の真実を今、4人で語る

こんなに多くの人間が同じことを思っている1年半ってなくないですか?
そういう時にこういう音楽を作れてよかったなあ、「今こそ非日常を」ってファンタジーに行かなくてよかった(Fukase)

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』8月号表紙巻頭にSEKAI NO OWARIが登場!

最新アルバム完成直後、最速インタビュー!
11年目の真実を今、4人で語る

インタビュー=小栁大輔 撮影=川島小鳥


今、ファンタジーは有効なのか?
そんな問いから、このアルバムの制作は始まったのだと思う。

SEKAI NO OWARI 6枚目のアルバム『scent of memory』は、コロナ禍のなか制作が進められてきた。完全リモートで作られた曲もあるし、それぞれの楽曲で歌われているテーマもまた、その姿を変えていると言っていいだろう。
ファンタジックで概念的なアンセムから、より具体的で日常的な音楽へ。
限りないイマジネーションによる巨大なサウンドトラックから、生活的で身近で、細かな心の動きが伝わる言葉と旋律へ。
今、セカオワは、僕たちが日々感じる喜怒哀楽と同じ、半径5メートルの機微を歌おうとしている。一歩一歩懸命に進んでいくこの日々を肯定しようとしている。この未曾有の世界で同じように苦しみ、悲しみ、「独り」に向き合い、明日も似たような朝を迎えて、一人ひとり懸命に生きていく、そんな日々を歌おうとしている。
そして、言うまでもなく、今という日々を生きる人々への楽曲集である『scent of memory』は、Fukase、Nakajin、Saori、DJ LOVEという4人の息遣い、日々の思いの集積そのものでもある。

このアルバムを作っている間に、Fukaseは歌が歌えなくなった。
Fukaseには呆れられてしまうかもしれないが、その話を聞いて、ああそうなのだろうな、と思った。
そして、レコーディングの場に来れなくなってしまったFukaseをそっとしていた、というメンバー3人の話を聞いて、それもまた、ああそうなのだろうな、と思った。
なんというか、Fukaseがなぜ歌えなくなってしまったのか、その感覚は僕にも(あくまでほんの少しの実感でしかないが)なんとなく解る気がしたし、メンバーにしても、歌を歌うことができなくなったFukaseの心を無理やり変えて歌わせることはしたくなかったのだと思う。
今、この時代において、歌を歌うということ――もっと言うなら、SEKAI NO OWARIとして何かを言うこと、時代に向き合いながら生きることを肯定すること。それは途方もない自問自答を、Fukaseに強いたのだと思う。
そうして、Fukaseは、“Like a scent”という怒りと悲しみのヒップホップを、そして、「ただいま」と「おかえり」という言葉の間にある思いを綴った小さな灯りのような楽曲、“family”を歌った。
ここまで書けばもうわかってもらえるだろう。
SEKAI NO OWARI 6枚目のアルバム『scent of memory』ではファンタジーは歌われていない。だが――いや、だからこそ、このアルバムは今、僕たちの日々を、これまでのどんなセカオワアルバムよりも強く応援しようとしている。そんな静かな肯定への覚悟がこのアルバムにはある。そんな決死のアルバムが感動的でないはずがない。

この生活者への賛美歌のような作品を作り上げた4人と、完成直後に、じっくりと話したのがこのインタビューである。アルバムを語った最速の機会、ということになる。
様々な日々を超えて、今この場所にたどり着いた4人との対話を読んでもらえば、じっくりと湧いてくる元気のようなものを感じてもらえるのではないか。
SEKAI NO OWARIは今日も懸命に生きている。その足取りは、今この本を手にしているすべての人とまったく同じ「懸命」であると、『scent of memory』を何度も聴きながら、僕は思う。(小栁大輔)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年8月号より抜粋)




【JAPAN最新号】SEKAI NO OWARI、最新アルバム完成直後、最速インタビュー! 11年目の真実を今、4人で語る - 『ROCKIN’ON JAPAN』2021年8月号『ROCKIN’ON JAPAN』2021年8月号
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