現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号表紙巻頭にマカロニえんぴつが登場！ずっと青春を歌ってきて、僕は大人にならないことへの快感を感じていたんですよ。でも自分に加わった痛みじゃなくても感じ取って、大人の涙が流せているほうが人間らしくて素敵じゃないかなって
らしく生きろ！ 心のロックを解放したニューアルバム『大人の涙』のすべて
紆余曲折と実験の日々を語る「メンバーインタビュー」と、「はっとり 続・2万字インタビュー」で、マカロニえんぴつ、進化の3年間を徹底特集！
インタビュー＝小川智宏 撮影=横山マサト
メジャーに進出して以降、マカロニえんぴつはひたすらに怒涛の日々を過ごしてきた。コロナ禍の中でライブのスケールを大幅に拡大し、さらにアニメ、ドラマ、映画、CMと数々のタイアップ曲を生み出し、バンドの集大成といえるアルバム『ハッピーエンドへの期待は』を作り上げ、昨年から今年にかけては結成10周年でメモリアルなツアーを行い、今年はZeppツアーでユニコーンと初の2マンを実現し……要するに、バンドとしてやれることを常に最大出力で体現し続けてきたのである。その爆走の季節を経て、彼らは間違いなく新たなフェーズに突入した。11年目のマカロニえんぴつは、ここまでの経験値を糧に、自分たちのスタンスとスタイルをはっきりと見定め、さらなる進化を続けている。それは有り体にいえばロックバンドとして「大人」になったということであり、それを象徴するのが、つまり今回のニューアルバム『大人の涙』である。
“なんでもないよ、”のその先で新たなマカロニえんぴつのアンサンブルを生み出した“悲しみはバスに乗って”に始まり、『天才てれびくん』に提供した楽曲のセルフカバー“ネクタリン”や高野賢也作曲の“だれもわるくない”では大胆に打ち込みのサウンドをフィーチャーしながらもマカロニえんぴつの「らしさ」を表現することに成功し、その一方で“ペパーミント”や“愛の波”でソリッドなバンドサウンドをますます研ぎ澄ませ、その合間にまさかの昭和歌謡デュエット曲“嵐の番い鳥”やキレキレのハードロック（というかほとんど90年代のヴィジュアル系サウンド）で冷蔵庫の気持ちを代弁する“Frozen My Love”で思いっきり遊び、そして弾き語りではっとりの今のモードをダイレクトに表明する“ありあまる日々”で終わる、そんな内容の『大人の涙』。どの曲もバンドとして何を目指すのか、そのためにどんな音を求め、どんな言葉を紡ぐのかをはっきりと指し示していて、そこに向かってメンバー、スタッフ含めチーム一丸で突き進んでいる姿が刻まれている。
《この命が燃え尽きるのはいつ？／いつでもいい ぼくらなら／行こう 行こう 行こう》。“悲しみはバスに乗って”ではっとりはそう歌っている。それくらいの確信と、自分たちの中にある「これ」以外はどうでもいいというはっきりとした態度が今のマカロニえんぴつにはある。彼らはその境地にどのようにして辿り着いたのか、全員でアルバムを語るインタビューと、はっとりに『hope』以降の心の動きを聞いた続・2万字インタビューで読み解いていきたいと思う。（小川智宏）
（『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋）
『ROCKIN'ON JAPAN』10月号のご購入はこちら
他ラインナップはこちら
