自由で多面的なポップ大陸、ここに顕現――ミセスのエンターテインメントが極まった初のドームライブ「Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”」、完全レポート！
文＝小松香里 撮影＝田中聖太郎・MASA・石井亜希・河村美貴・山内洋枝・金谷龍之介
約1週間前に約3年半ぶりのアリーナツアーであり、自身にとって最大規模となる「 ARENA TOUR 2023 “NOAH no HAKOBUNE”」を終えたばかりのMrs. GREEN APPLE。初のドームライブ「 DOME LIVE 2023 “Atlantis”」の会場であるベルーナドームに入ると、ステージ上には巨大な神殿が設置され、上を見上げるとドーム特有の白く覆われたような天井。場内には水の音が混じった神秘的な音が流れており、おまけに実際の雨音がうっすら聞こえる。海に沈んだと言われる幻の大陸「アトランティス」に迷い込んだような気分が高まる。
開演時間きっかり、神殿に埋め込まれたビジョンが光り、「Long Long Time Ago」という文字が映し出され、時計の針が猛スピードで動く。まるで古代の神殿が目覚めたかのような感覚を覚える中、「Welcome to Atlantis」と表示された。ステージ上には若井滉斗（G）、藤澤涼架（Key）を擁したバンドが登場。大森元貴（Vo・G）は神殿の底から浮き上がるような形で登場した。
モールス信号のような音が聞こえる。まずは最新アルバムの冒頭を飾る“ANTENNA”だ。周囲に惑わされず、自らを信じてどこまでも行こう、という始まりの歌がどこまでも伸びていく。オーディエンスが振るライトスティックが青く光り、海底のような景色が広がる。
1stシングル曲“Speaking”、本当に久々に披露された“サママ・フェスティバル！”、大森のしなやかな身体表現が煌めいた“アンラブレス”と、ステージから勢いよく噴き出す噴水やCO2という派手な演出も後押しし、初っ端から尋常じゃないスケールのスペクタクルなショーが展開される。つい先日、ノアの方舟の先導者として我々を現実と幻が交錯する世界に連れていったミセスだが、その先にはとんでもないポップ大陸があった。この短期間で大きく違う世界観のメガライブを創出してみせたことにまず感服する。
噴水が勢いよく上がり、大勢のキャストが登場した“Love me, Love you”。大森もキャストと一緒に踊るさまは、神殿で行われる祝祭の儀式のようだった。小学6年生で曲作りを始めた大森は、元々バンドサウンドにこだわっているわけではなかった。だからこそ、制作スキルが上がるにつれて、そのサウンドはバンドのフォーマットを逸脱し、あらゆるジャンルを飲み込んだ革新的なポップミュージックとして育まれていった。
（以下、本誌記事に続く）
（『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋）
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