Cloudyの“無責任な肯定を”を聴いたとき、こんなことを歌ってくれるロックバンドがいるんだと、ずっと見つからなかった探し物が急に目の前に現れたような驚きと喜びがあった。ライブハウスシーンだけにとどまっていたら、ブルーハーツに出会えた中学生の頃の僕には届かない。
そういう意味でもちゃんと大衆に打って出たい
この曲は、ロックを愛するすべての人の心を撃ち抜くストレートな言葉で、リスナーの存在そのものを丸ごと肯定する大きな愛に満ちた歌だ。歌っているのは誰もが名前を知るビッグアーティストではない。結成からまだ2年半ほどのニューカマーのバンドである。それでも、《君は間違っていないよって今 歌うよ》という恥ずかしくなるほどの熱情を、その熱を一切逃さない正攻法のロックサウンドで畳みかける、これほどまでに潔い曲は昨今そう多くない。“無責任な肯定を”に出会えて、ロックを好きでいる人生でよかったと心から嬉しくなった。
誤解のないように説明を尽くし、正しさを提示することが求められる今の時代において、理由も根拠もなく感情を丸ごと肯定することは、本来とても無責任で、危うい行為でもある。だが、その「無責任さ」を引き受けたまま大衆の前に立ち、音に乗せて差し出すという表現ができる唯一の存在がロックバンドなのだと思う。Cloudyの歌には、聴く者すべてに根拠なく「ここにいていいんだ」と思わせる説得力があった。近年チャートからはロックが減ってきてしまっているが、彼らは「なぜロックが必要なのか」という問いに真正面から答える力を持ったバンドだと確信している。再始動したロッキング・オンのオーディションプロジェクト「RO JACK」で彼らを初代王者に選んだのも、そんなバンドをシーンのど真ん中に送り出したかったからにほかならない。
今回は、その言葉を紡ぎ出すフロントマンの小柴タケトに単独インタビューを行った。発言の一つひとつからも、彼が、そしてCloudyが、ロックの時代を呼び戻す存在であると強く感じさせられた。
インタビュー=有本早季 撮影=横山マサト
(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年3月号より抜粋)
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