屋久島にいるビョークにインタビューした! 6月28日の日本科学未来館での世界初イベントについて訊いた

屋久島にいるビョークにインタビューした! 6月28日の日本科学未来館での世界初イベントについて訊いた

ビョークは、今週日本科学未来館にて開催される公開収録イベント「Making of Björk Digital」のためにすでに日本にいる。

実は、東京入りする前に屋久島にいたそう。彼女が「世界でも一番好きな場所」と言っていた屋久島とNYを電話でつないでもらい、今回のイベントについて、7月に発売されるライブ・アルバム『ヴァルニキュラ・ライヴ』についてビョークに話を訊いた。イベントとアルバムの詳細はこちら。
http://ro69.jp/news/detail/144767

28日の公開イベント「Making of Bjork Digital」では、『ヴァルニキュラ』に収録されている最後の曲“クイックサンド”をビョークが生で歌い、制作チーム「Dentsu Lab Toyko」とのコラボレーションによって360度VR映像をリアルタイムでストリーング配信する。「360度VR映像のリアルタイム・ストリーミング配信」はなんと世界初の試みになる。
20時から約5分間生で配信される予定なので絶対お見逃しなく!
http://dentsulab.tokyo/events/20160628/

実は、この28日に何が見られるのかを教えてもらったのだけど、見てからのお楽しみにしていただきたいので、それはここには書かないことにして。なぜそのようなVR映像になったのか、ビョーク自身が楽曲“クィックサンド”について説明しているので参考にして欲しい。

「“クィックサンド”はアルバムの中では一番古い曲で、実は“ハートブレイキング・サーガ”(アルバムの1曲目〜6曲目)の前に書いていた曲なの。私の母についての内容で、母が心臓発作になった後に書いた曲だった。母は数日間意識不明になって、意識が回復するまで、私と弟はすごく色々な体験をしたわけ。それを曲にしたら、母がいかに祖母から引き継いだ落ち込んだ気持ちと向き合い、私がいかにして母の落ち込んだ気持ちと向き合うのか、という曲になったの。母から娘がその気持ちをいかに受け継ぐのか、ということについて。それで、このアルバムを作った後、私自身も離婚したわけでしょ。でも、曲を書いている時は、まさか自分が離婚することになるとは思っていなかったわけ。つまり、母である私の落ち込んだ気持ちを、娘が受け継ぐことになるのかもしれないし、そうしないために何に気をつけなくてはいけないのか、ということと向き合った曲になった。しかも不思議なことに、アルバムが完成してから、この曲こそ『ヴァルニキュラ』全体のテーマを総括するような曲になったと思ったから」

つまりキーワードは“母”。VRでは母に注目。

ビョークは現時点まで“クイックサンド”以外に3本のVRを発表していて、なんと、これからさらに3本もVR化するとのこと。

オーストラリアで初上映された“ノットゲット”も、今回、未来館で行われるVR展示プロジェクト「Björk Digital―音楽のVR・18日間の実験」で体験できる、。

「これは、私たち以外誰も使ったことのないテクノロジーで作ったのよ。ゲーム・エンジンのようなものを使って作って、すべてがデジタルなの。VRマスクを付けたら映像の中を歩いたりもできるし。映像の中では、私があるキャラクターになって歌っているんだけど、私の中に入って、私の視点から何かが見れたりするわけ。しかも、そのキャラクターになって歩けたりもするの」

私はNYのMoMAで、“ブラック・レイク”をスクリーンで見たのだけど、そこからさらに進化しているのだそう。オーストラリアでは50のスピーカーとともに巨大な映像で上映されて、人間よりそれが何か大きな存在であるということを強調したかったらしい。しかし、日本ではまた違う趣向で、当時のビョークの心境により近い、閉所恐怖症的な、閉じ込められた感じで再現されるそう。また“ノットゲット”とは真逆で、自分が生でむき出しになった感じを映像で表現したかったそうだ。ちなみに、この“ブラック・レイク”は日本の温泉にいる時に書いた曲だ。

“マウス・マントラ”についても、すごく面白い話を聞かせてくれたし、このVR企画全体が、彼女にとっては「2016年型VRオペラ」を作っているような感じだと語っていた。また、VR映像を作り始めた1年半前にはなかった技術が今は可能になっていたりと、進化の最中に作れていることがいかにエキサイティングなのかということ。その他、ライブ・アルバムや、ビヨンセの新作『レモネード』について(ビョーク史上最短の感想だった)、また新作の進行状況などなども聞いたので、8月1日発売の『ロッキング・オン』9月号をお楽しみに~。

そう言えば、ビョークのライブ・アルバムの豪華ボックス・セット版には、なんとビョークが『ヴァルニキュラ』で被っていたマスクの紙版が付いてくる。しかもその刺繍を手がけていたJames Merryのデザインによるオリジナルからモデリングされたもの。高かったけど思わず予約してしまった。こちら。
http://indian.co.uk/shop/bjork/vulnicura-live-luxury-boxset.html
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