オバマ前大統領が選ぶ2019年のベストソング、映画&TV、本。ビッグ・シーフにボス、『パラサイト』から『ウォッチメン』、さらに村上春樹まで。相変わらず誰よりもクール

オバマ前大統領が選ぶ2019年のベストソング、映画&TV、本。ビッグ・シーフにボス、『パラサイト』から『ウォッチメン』、さらに村上春樹まで。相変わらず誰よりもクール

オバマ前大統領が、毎年恒例となっているその年に好きだった音楽、映画、TV、本のリストを発表している。相変わらずだが、誰よりもクールなリストと言えると思う。オバマ曰く「2019年を少しだけ明るくしてくれた」カルチャーのリストであり、「自分が楽しんだくらいみんなにも楽しんでもらえると嬉しい」とのこと。

1)ベストソング


ベストソングのリストで言えば、ブルース・スプリングスティーンや、ビヨンセなどオバマが選びそうな曲やフランク・オーシャンくらいまでは理解できるが、夏のリストにも入っていて驚いたロザリアやシャロン・ヴァン・エッテンも引き続き入っている。

また、驚きなのは2019年のベストリストに入りまくっていたビッグ・シーフの名前もあるほか、もっと驚いたのはDominic Fikeまで入っていること。絶対娘さん達に勧められたんだとは思うけど、ものすごく幅広いジャンルが入っていながら、バランスが取れたとてもクールなリストだと思う。オバマの人柄を象徴しているように思う。

ここで全部聴ける。
https://open.spotify.com/playlist/?si=_qPO-cduSIu98HO2nzezPA

2)映画&TV


映画のリストで言えば、ツイートにもあるようにオバマが設立した制作会社、Highter Ground配給のドキュメンタリー映画『American Factory』が入っている。これはオバマがNetflixと巨額の契約金を結んだ後に発表した初の作品としてストリームされている他、オスカーのドキュメンタリー部門のショートリストにも入っている。


映画『Amazing Grace』はアレサ・フランクリンのドキュメンタリー映画。


アルバム『Amazing Grace』は、72年にLAで行なわれた教会でのコンサートを収録した作品だったが、その時にシドニー・ポラック監督が映像も撮っていた。本人の意向によりこれまで公開されていなかったのだが、幻の作品がとうとう公開された。お蔵入りを希望した本人には申し訳ないが、観客としては観られて良かったと思える素晴らしい作品だ。

映画のリストも、オスカー最有力候補のスコセッシ最新作『アイリッシュマン』から、『パラサイト 半地下の家族』、また、グレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』や『フェアウェル』、さらに『ブックスマート』などの女性監督による優れた作品はもちろん、マイケル・B・ジョーダンがリアルなヒーローを演じた『黒い司法 0%からの奇跡』、個人的に2019年前半で最も好きだった映画『The Last Black Man in San Francisco』まで入っている。

メジャー映画、インディ映画、ドキュメンタリーも入った本当に幅広い素晴らしいリストだと思う。しかもそれぞれにモラル、社会の不公平、女性の自立、移民としてのアイデンティティの確立、現代のティーネージャーの成長物語、ジェントリフィケーションなどなど、独自で意味のあるメッセージが含まれた作品が多いのも特徴だ。



これらだけでも十分感動的だが、「映画と同じくらい強烈なTV番組」として『ウォッチメン』のみならず、『フリーバッグ:シーズン2』まで入っていてびっくりだ! 個人的にも両番組とも大好きだっただけに、 本当に趣味が良すぎる。

『ウォッチメン』は、ご存知コミックを元にした作品だが、原作には描かれていなかった物語を『LOST』のデイモン・リンデロフが独自に考えて制作したもの。原作から34年後の世界が舞台で、1921年にオクラホマ州タルサで実際に起きた、白人が約200人の黒人を殺害するという悲惨な事件が物語の始まりとなっている。そこから、白人至上主義者と覆面警官の戦いが描かれているのだ。


絶妙な設定により現実世界から少し逃避しながらも、そこに今のアメリカが浮かび上がるというとんでもない傑作。ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとアッティカス・ロスによる音楽も最高で、こういう最先端の作品に関わり続けられる彼らも改めて凄いと思った。

そしてシーズンの中でも最高な回の終わりに、デヴィッド・ボウイの“Life on Mars"をカバーした2人のセンスにうなりまくった。音源こちら。


『フリーバッグ』は、エミー賞も獲りまくったイギリス人のフィービー・ウォーラー=ブリッジが主演、脚本を務め制作された大人気ドラマ・シリーズ。彼女が演じる若い女性を主人公とした恋愛コメディ?と言ってよいと思うけど、とにかくその姿が痛々しくて、しかし胸がキュンとなり、じーんとくる物語。大ヒットした作品ではあったけど、まさかオバマも好きだったとは!


また、『アンビリーバブル たった1つの真実』はNetflixでものすごく評判が良くて、友達にも観るよう勧められた作品だったが、テーマがレイプとそのトラウマについて描いたものだったため、結局その内容の重さから最後まで観れなかった作品。時期をみて、いつかまた挑戦したいと思う。これも観ているオバマは凄い。

3)本

本に関して言えば、オバマの読書量にはまるでかなわない。なんとコメントしていいやら……すいません。夏に発表した読書リストにも入っていた村上春樹『女のいない男たち』はそのまま年間ベストにも入っている。

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