ザ・ウィークエンドが、予告していた待望の新作『dawn FM』を1月7日に発売すると発表。予告編を公開した。
この予告編の映像は、前作『アフター・アワーズ』の続きのようになっているが、今回は鼻から血が流れていない代わりに、急激に年を取った姿が映し出されている。映像の終わりの方では、ラジオDJが、「こちら103.5 Dawn FMです。あなた達はあまりに長く暗闇にいました。光に歩み出す時が来ました。あなたの運命を心を開いて受け止めましょう」と語っている。
パンデミックの最中に暗闇にいた我々の心境を象徴しているようでもある。実際ザ・ウィークエンドは新年のインスタで、こうコメントしていた。長年のコラボレーターであるLa Mar Taylorとの携帯のテキストメッセージを公開し、「あけましておめでとう! 全てが再びカオティックに感じる。音楽は癒しになるし、それは、新作発売のプロモより大事に思える。だからここで全曲発表してしまおう。そしてみんなに楽しんでもらおう…XO」
ザ・ウィークエンドは「闇」を抜けて明るい「dawn=夜明け」を目指していることを去年も何度かツイートしていた。
現時点で新作について分かっていることまとめ。
1)コラボレーター:この予告編によると、新作には、ジム・キャリー、クインシー・ジョーンズ、タイラー・ザ・クリエイター、リル・ウェイン、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)などが参加している。10月に行ったインタビューでは、アルバムの物語に重要なキャラクターが登場し、「自分の親しい人、子供の頃に自分をインスパイアした人、そして今の自分をインスパイアしている人」と語っていた。
2)「『アフター・アワーズ』が闇のアルバムなら、新作では『Dawn=夜明け』やってくる」と発言。
3)シングル”Take My Breath”は発表済み。
4)『dawn FM』のテーマ
11月のビルボード誌のインタビューでは、
「煉獄のような状況にいて、トンネルの終わりで光を求めているような感じ。自分は交通渋滞にハマるといつもそれを想像するんだ。それで交通渋滞の最中に、車でラジオが流れて、ラジオDJが、光へ向かう、向こう側にたどり着けるように導いていてくれる。
だからそれは人によっては、祝祭に聴こえるだろうし、または人によっては荒涼としたものに聴こえるかもしれない。聴いた人が決めてくれていい。だけど僕にとっては、新作はそういう作品なんだ」
5)「自分が長年作りたいと思っていたアルバムができた」
GQのインタビューでは、この作品は自分が長年作りたかったアルバムだと語っていた。
全曲か分からないけど、新作からの曲を聴いたGQのライターは、「クインシー・ジョーンズ・ミーツ・ジョルジオ・モロダー・ミーツ、史上最高な夜のパーティ・アルバム」と形容している。ただし最近ポップ・シーンでは、レトロ・サウンドが流行っているけど、そうではなくて、新しいサウンドなのだということ。
それで思い出したのは、これは何回か書いているけど、『スターボーイ』の時に、ザ・ウィークエンドに取材できるかもしれないと言われて、彼の数少ないインタビューを読んでいたら彼が、ものすごく面白ことを言っていた。
「僕はクールなクラブ・ミュージックなら寝てても作れる。だけど、クールなポップ・ミュージックを作るのは死ぬほど難しい。だからそれに挑戦したい」と。だからかつてはマックス・マーティンと曲作りをしたと。今回「長年作りたかったアルバムができた」と言っているのは、正にそれができたということなのかもしれない、と思った。
6)ジム・キャリー
今作でコラボしたジム・キャリーがツイートしている。
「昨晩、僕の良い友達のエイベルと『Dawn FM』を聴いた。すごく深くて、エレンガントで、部屋中で踊ってしまうアルバムだった。彼のシンフォニーの一部に参加できてすごく嬉しく思っている」
それに対して、ザ・ウィークエンドも、「参加してくれてありがとう。これは運命だったと思う。人生がここで一周した」とツイート。
カナダ人同士とはいえ、かなりユニークなコラボレーションだ。ジム・キャリーとはパンデミック中に親交を深めたと、いくつかのインタビューで語っていた。
https://variety.com/2020/music/news/the-weeknd-exclusive-interview-after-hours-1234573754/
4歳の時にお母さんと初めて観た映画がジム・キャリーの『マスク』で、ザ・ウィークエンドは彼の大ファンだった。ある時、ジム・キャリーが近所に住んでいることが判明し、お互いが双眼鏡を持っていたので、家から覗いてみたら見えたのだそう(笑)。
それで、ジム・キャリーが2020年、ザ・ウィークエンドの30歳の誕生日の朝に、バルコニーに風船を掲げてメッセージを送り、一緒に朝ごはんを食べに行った、という良いエピソードを披露していた。そこから今回のコラボにつながったのだと思う。恐らくこれから公開されるMVに出演しているのでは?すでにアルバム全体の映像ができているのでは?とも思う。
その他のコラボレーターについては、OPNは、ザ・ウィークエンドが初出演した映画『アンカット・ダイヤモンド』の音楽を担当。ザ・ウィークエンドがスーパーボウルのハーフタイムショーに出演した際も、ミュージカル・ディレクターを務めている。
ザ・ウィークエンドは、この1年間、グラミー賞で1部門もノミネートされなかったという大事件があった中で、忙しく活動している。
1)スーパーボウル、ハーフタイム・ショー
https://youtu.be/9rhadTURsrw
2)コラボ曲を次々に発表。
FKA Twigs “Tears in the Club”
Rosalia “La Fama”
Post Malone “One Right Now”
“Save Your Tears” Remix with Ariana Grande
Aaliyah “Poison”
Swedish House Mafia and the Weeknd “Moth To A Flame”
3)『Echoes of Silence』10周年記念で、空山基とコラボでMV制作。
彼が尊敬するアーティストとのコラボが実現して、あまりの光栄とインスタしていた。そのドキュメンタリーも公開。
MVはこちら。
4)HBO MAXのドラマ・シリーズで主演。
リリー・ローズ・デップと共演。
『アンカット・ダイヤモンド』では自分役で出演していたが、今度は、HBO Maxの制作する新シリーズ”The Idol”で主演を務めることが決定。
作品のアイディアは、エイベル自身によるものだが、同じくHBOで大ヒットを記録し、ドレイクがエクゼクティブ・プロデューサーでもある『ユーフォリア/EUPHORIA』の脚本、監督を手掛けるサム・レヴィンソンが脚本を書く。
内容は、音楽業界を舞台にして、エイベル演じる自己啓発の指導者であり、現代のカルト・リーダーが、リリー・ローズ演じるこれから人気の出るアイドルと複雑な関係を持つ物語だということ。HBOは常にクオリティの高い番組を作り続けてきているので、あまりに楽しみだ。去年11月に撮影が開始された。いつから放送されるのかはまだ発表されていない。
彼はもともと映画制作に自分が一番興味を持っていると語っていて、最近のインタビューでは、好きな作品に三池崇史の『オーディション』も挙げていた。
5)”Blinding Lights”が史上最高のヒット曲とビルボード誌が認定。
6)世界ツアーが延期されて、スタジアム規模で開催。
本来年明けに開始する予定だった世界ツアーだが、アリーナでのコロナ禍の規制を考慮し、またより大きな会場で行いたいということで、スタジアムに変えて世界ツアーを開催すると発表。まだ日程や場所は発表されていないが、アジアも入っているので来日も期待!
他にも色々あるが、とりあえずこれくらいで。
1月7日の新作が楽しみだ。
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