一度ドクター・ストップで延期になったフランク・オーシャンの仕切り直しライブが、日曜日にNYのバワリー・ボールルーム(キャパ600人)で行われた。素晴らしいライブだった。
OFWGKTAのR&B担当とも言えるフランク・オーシャンは、すでにJay-Z&Kanye West、Beyonce、などに曲を提供する売れっ子と言えるが、アルバムにMGMTやレディオヘッドの音源が使われていることからも察することができるが、そのサウンドはかなりロックよりとも思える時があったし、全体的には、NINのインストかと思うような圧倒的に洗練された知的なサウンドを鳴らすのが特徴だった。
Tシャツ売り場では、ご覧のように、フランク海洋。だし、『カラテ・キッド』(生まれてなかったはず)かというはちまきで登場し、スクリーンには、『ドラゴンボール』などが映し出される。かと思えば、"American Wedding”では、”ホテル・カリフォルニア”のギター・ソロのところでいきなりスクリーンにTVゲームのギターヒーローが映し出されて、マジでギターヒーローをそこでやっていた。さらに、途中でノドが乾いてお茶を取りに行くと、カップ&ソーサーで持って帰って来るし。
しかしKanye Westがキング・クリムゾンをサンプリングしたり、村上隆をジャケットに使うのより、そういうハイブリットがもっと当たり前に行われているのが、彼とフランク・オーシャンなどの新世代の違いだと思う。もちろん、ナップスター以降のインターネットの影響だと思うが。サブカルも音楽も、ジャンルを分けて聴いてこなかったんじゃないかという地続き感があったのだ。そういうアーティストはもうすでにいるけど、それがまたさらに一歩進化しているという感じ。
全体のライブのトーンもまったく肩に力が入っていなくて、余裕というのとも違うのだけど、等身大というか、大人というか。OFWGKTAのステージとはまったく違うフレンドリーでスムーズなトーン。さらに恐らく莫大な情報量を手にしていながら、音数が異様に少ないところがまたかっこ良くて、そのセンスの良さを光らせていたし、それをまとめあげるのにR&Bサウンドをなぜ使ったのかというも大変興味深いところだ。逆輸入みたいに響くR&Bだったから。いや、R&BのようでR&Bじゃない、というか。
ステージは至ってシンプルで、真ん中にマイクが1本あるだけ。後ろには巨大スクリーンがあり、ステージ横にはMacが1台。シャーデーの"By Your Side”に始まり、ビヨンセに彼が書いた”I Miss You”で終わったこのライブは、彼がこれからさらに巨大になっていきそうな予感の塊、みたいだった。
私の行った初日は業界人でパンパンだったが、彼は今日2日目のソールドアウトライブをNYで行う。