まさに「再出発」と呼ぶべき1枚
ユニバーサル移籍第一弾となったこのアルバムは、タイトル通りまさに「再出発」と呼ぶにふさわしい、どことなく賑やかな作品。良曲揃いで意外なほどにポップなこのアルバムは、当時、長くエレカシを聴き続けてきたファンには驚きとともに受け入れられ、サウンドアレンジを含め、良い意味でのキャッチーさが全面に出た、個人的にとても好きな1枚だ。先行シングルでCMタイアップ曲にもなった“俺たちの明日”では、新たなファンを取り込むことにも成功し、この再出発が明るい兆しに満ちていること、エレカシが希望とともに確かな一歩を踏み出したことを感じさせてくれた(そしてこの勢いは、このあとにリリースされるシングル『桜の花、舞い上がる道を』のヒットへと繋がっていく)。そんな中にあって、この「再出発」に至るまでの苦悩が見え隠れする“こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい”の生々しい虚無感や、それに呼応するようにチョイスした荒井由実“翳りゆく部屋”のカバーは、衝撃いまだ冷めやらず。(杉浦美恵)
収録曲:
1.今はここが真ん中さ!
2.笑顔の未来へ
3.こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい
4.リッスントゥザミュージック
5.まぬけなJohnny
6.さよならパーティー
7.starting over
8.翳りゆく部屋
9.冬の朝
10.俺たちの明日
11.FLYER
※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載
過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218
次の更新は2017年3月18日(土)7:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)