「すごく誇りに思っていることがあって、それはこのアルバムが、特に女の子にとっては話しにくい、あるいは社会的に受け入れられていないような感情について語っていること。
怒り、嫉妬、悪意、悲しみといった、ひんしゅくを買ってしまうようなもの」
文字通り記録的な大ヒットとなった“ドライバーズ・ライセンス”をはじめ、一大ポップ・センセーションを巻き起こしたオリヴィア・ロドリゴ。
しかし彼女がデビュー・アルバム『サワー』で自ら証明してみせたのは、自分は「現象」などではなく紛れもない一人のシンガー・ソングライターであり、表現者であるということだった。威勢のいいポップ・パンクも痛みを抱きしめるようなバラードも、彼女自身の実存を懸けて生み出されたものである、と。
このインタビューは、SNSでの露出を減らしたという最近の彼女としては、現在の気持ちを率直に語った貴重なものだ。なぜロードが幼い彼女にとって重要だったかを語るくだりは胸を打つし、自分の歌がたしかに10代の痛みから来ていることを明かす正直さには驚きもする。
『サワー』が多くの若い女性に熱烈に支持されたのは、オリヴィアがその正直さで怒りや嫉妬といったダークな感情も織り込んだ10代の心の動きを見事なストーリーテリングで綴ったからだった。けれども彼女は、その場所に留まらないこともここで宣言している。その表現者としての生は始まったばかりなのだ。(木津毅)
オリヴィア・ロドリゴの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。