現在発売中のロッキング・オン7月号では、ケンドリック・ラマーの新作『Mr. Morale & The Big Steppers』の徹底レビューを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=中村明美
何しろ、ケンドリック・ラマーの金字塔『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』(2015年)の“オールライト”は「ブラックライブズマター」ムーブメントの宿命的なアンセムとなり、『ダム』(2017年)は、メディアも絶賛し商業的にも成功。ピュリツァー賞を受賞するという音楽シーンを超えた評価を得てしまった。
それから5年ぶりの『Mr. Morale & The Big Steppers』は、時代を代表するアイコンにして、スーパーヒーロー、ブラックアメリカのモラルを牽引する光として、ほぼ神格化されたアーティストの新作として期待された。ジャケットで、ケンドリックはキリストの重いいばらの冠を被っていて、彼もその期待は重々承知している。それが今作のポイントでもある。
「冠」=“Crown”と題された曲で彼が何度も繰り返す。《俺は全員を喜ばせることはできない》と。さらに、「救世主」=“Savior”では、《救世主じゃない》と宣言している。今作でのケンドリックは不安を抱えている。
(以下、本誌記事へ続く)
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