スーパーオーガニズム待望のニューアルバム、『ワールド・ワイド・ポップ』が7月ついにリリース!
これがまた嬉しい驚きに満ちたカラフルな快作に仕上がっているのだ。彼女たちの新モードは、本作のタイトルが何より雄弁に物語っているのではないか。脱力サイケデリックなインディポップで話題を呼んだ2018年のデビュー作『スーパーオーガニズム』は、ガジェット感満載のサウンドピースを寄せ集めっぱなしで放置した脱構築性というか、歪で未完なフォルムのままふわふわファジーに漂う様にこそメッセージを感じる、アバンアートのようなアルバムだった。
しかし、今回のスーパーオーガニズムはガッツリ目醒めている。ピントがピタリと合い、その先で彼女たちが目指したポップソングの輪郭が初めてクリアに浮かび上がってくる。先行シングル“ティーンエイジャー~”にプロデューサーとして参加したのは、マドンナやペット・ショップ・ボーイズからデュア・リパまで手がけるポップの魔術師スチュアート・プライス。彼とのタッグからも本作がプロフェッショナルに向き合ったものであることがうかがえるし、メンバーがほとんど顔を合わせることなくネットのやりとりだけで完成させた、前作の究極のアマチュアイズムと対極的な仕上がりになっているのも納得だ。
初来日時のインタビューではスーパーオーガニズムという枠組みにクリエイティビティを制約される苛立ちのようなものを滲ませていたオロノだが、本作では彼女がバンドに自由を感じ、活き活きと謳歌しているのが伝わってくる。開かれた場所としてのスーパーオーガニズムの新たな姿は、スティーヴン・マルクマスから星野源、CHAI、UKヒップホップのディラン・カートリッジやフランスのSSWのピ・ジャ・マまで、まさにワールドワイドに広がった豪華ゲストの顔ぶれにも明らかだ。
地球をミラーボールに見立てたジャケットのアートワークも、本作のオープンマインドな精神性を象徴していると言えるかもしれない。フジロックでの来日も決定、スーパーオーガニズムの変容の全貌が明らかになる日も目前だ。次号インタビューもお楽しみに! (粉川しの)
スーパーオーガニズムの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。