結成30周年にして初の武道館公演、そのお礼参り全国ツアーを敢行中の怒髪天だが、おそらくそのステージで演奏されているに違いないテッパン曲を中心に揃えたという3枚組ベスト盤。“酒燃料爆進曲”“ロクデナシ”“喰うために働いて 生きるために唄え!”などなど、まさに外せない曲が肩を並べている。だが当然ながら単なるテッパン曲ベストではない。巻頭を飾るのは今や幻の『痛快!ビックハート維新'95』に収録されていた“江戸をKILL”の新録“江戸をKILL II”。また朋友イースタン・ユースのコンピレーション『極東最前線』収録の“サムライブルー”、ホーン・セクションや鍵盤、コーラス等を迎えた怒髪天&THE JOE-NETSによる“D&Jのテーマ”など、そんなにライヴでやってないだろうと突っ込みたくなる曲もあるが、こうしたレア曲にこそ怒髪天の遊び心や懐の深いロック魂が見える。30年ブレがないことに改めて感心させられる全39曲だ。初回盤・通常盤とも3枚組で2500円のお得盤なのに、10曲入りのレンタル限定盤もある大サービスぶり。これもお礼参りのひとつなのだろう。(今井智子)