脱帽の潔さ

ザ・クロマニヨンズ『どん底』

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ザ・クロマニヨンズ どん底
約1年ぶりのシングル。2曲入りで、どちらも3分以下の収録時間。あわせて5分間にも満たない短さだ。

装飾を省き、贅肉を落とし、冗漫を削り、ムダな繰り返しや時間稼ぎや穴埋めのアイディアをすべて削ぎ落として、本当に大事な、必要な核だけをいかに抽出し結晶化するか。童謡のように覚えやすいメロディも、アレンジもサウンドも演奏も、そして歌詞も、まどろっこしい手続きをすべて排して結論だけを叩きつけてくるような簡潔さだ。《どん底だから あがるだけ》と繰り返し歌われる真島昌利(G)作の“どん底”は、絶対に諦めないというシンプルで明確、そして誰にでも共有可能な強力なマニフェストだ。甲本ヒロト(Vo)作“ぼー”は逆に、捉えどころのないタイトルが示すように、簡潔な歌詞が情報量の少なさゆえにさまざまな解釈を促す。あれこれ考えを巡らすうちにテンポ良く曲は進み、あっという間に終了して、気がつけば繰り返し聞いている。型通りのロックンロールなのに飽きないのは、その奥に先人たちが築きあげてきた伝統の豊穣な水脈が見えるからか。充実の5分間。(小野島大)

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