17年ぶりの強力なニュー・ゲーム

ザ・ネットワーク『マネー・マネー・2020・パートⅡ:ウィ・トールド・ヤ・ソー!』
発売中
ALBUM
ザ・ネットワーク マネー・マネー・2020・パートⅡ:ウィ・トールド・ヤ・ソー!

グリーン・デイの覆面バンドであるザ・ネットワーク、実に17年ぶりのアルバムである。前作が『マネー・マネー・2020』と題されていたことから、2020年にこうして続編がリリースされたのも実は合点がいくものなのだが、新曲発表の報を聞き驚かされたのは、同年すでにグリーン・デイの『ファザー・オブ・オール…』とビリー・ジョー・アームストロングのソロ作『ノー・ファン・マンデーズ』のリリースがあったことが大きい。コロナ禍でライブ活動ができなくなっている反動だとしても、この超大物がどれだけ働くのかと。ともあれ、こうして届けられた25曲入りの新作は、3分台が5曲、2分台が9曲、残りは全て1分台以内と、前作同様に極めてシンプルにまとめられている。音楽的にもシンセサイザーとキーボードを主体としたソングライティングによるニュー・ウェーブに接近したロック・サウンドという特徴に変わりはないが、随所でインダストリアル調の楽曲が織り交ぜられ、アルバムにより立体的な広がりが加わった印象だ。

振り返れば、グリーン・デイは2000年発表の『ウォーニング』においてパンクとロックンロールが表裏一体であることを再発見して以降、ロックンロールの血肉化と再構築に腐心してきた。その間の輝かしい成果とドラマはご承知のとおりだが、そうした観点からすれば、彼らのロックンロールがレトロとモダンの二項対立を超えたある種の真髄のような地点にまで到達した一つの「結論」が『ファザー・オブ・オール…』だった。ザ・ネットワークはその旅の始まりの段階において生じた「パンクからロックンロールに先祖帰りできるのであれば、パンクの次=ニュー・ウェーブにも自由に進めるのでは?」という疑問を無邪気ながら見事に晴らしてみせたプロジェクトであったわけだが、彼らのロックンロールがネクスト・フェーズに入った今、もう一度その試みをやり直したくなった気持ちが、この強固なグルーヴに満ちた快作を聴いた後であればよく分かる。『ファザー・オブ・オール…』、(ビリーのソロではあるが)『ノー・ファン・マンデーズ』、そしてこの『マネー・マネー・2020・パートⅡ:ウィ・トールド・ヤ・ソー!』と、彼らはこのコロナ禍に沈む2020年においても他のことには脇目もふらず、様々な角度から、ひたすらにロックしてきた。自身がロックに救われたように、自身のロックだけが救える誰かがいることを、誰より知っているのだろう。非常時にこそヒーローはその輝きを増すのだということを、平時はふざけっぱなしのこの男達が、またしても教えてくれた。(長瀬昇)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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ザ・ネットワーク マネー・マネー・2020・パートⅡ:ウィ・トールド・ヤ・ソー! - 『rockin'on』2021年2月号『rockin'on』2021年2月号
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