前作『BI』から約2年8ヶ月ぶりのアルバムリリース。新体制になってからは初のアルバムだが、塩入冬湖(Vo・G)のソロ作というニュアンスはここにはなく、求心力の強いギターサウンドを軸にした瑞々しいバンドアンサンブルが躍動している。そこに生命そのもののような歌声が重なって、FINLANDS史上最強に心にぶっ刺さるロックアルバムとなった。《今夜とっておきのノイズだけを持って/遠くへ行くんだよ》と歌い出す“HOW”でアルバムは始まる。鬱屈とした日々から抜け出すような新たな衝動が、塩入の歌声をさらにエモーショナルにするのだろうか。バンドとしての新機軸を見せる“Balk”では、歪みまくるギターとメロディアスで叙情的なフレーズがヘヴィメタリックな趣を見せながら、静かな激情を放つ歌声が聴く者の胸を刺し、ラストには昨年3月に配信リリースされた“まどか”の再録バージョンも。歌もギターもさらに切実さを増し、最後の《持った細胞の全てであなたを思う》という歌詞は、1年の時を経て、より深い響きを伴うものとなった。全13曲、息を詰めて聴き入ってしまった。(杉浦美恵)
塩入の歌声には強烈な引力がある
FINLANDS『FLASH』
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