昔みたいに「やっちゃいけない」とか、変に意固地になることが、もしかしたら減ったのかもしれない(朝日)
──それがこのEPの軸というか、出発点になるようなものになったってことですもんね。他の3曲も、それぞれ違う意味での直球だなと思ったんですが、今回制作していくうえでのバンドの方向性やムードはどういうものでした?朝日 ライブで再現することを意識したりは常々してたんですけど、今回はわりと自由にやってみようかなって。というのも、“エレキの気持ち”が、最初ネクライでやるかどうかを決めてなかったんですよね。作ってみたけど、これが今のネクライっぽいかどうかがわからなくて。でもできあがってもっさに仮歌を入れてもらったら「面白いからこれもやっちゃおうかな」って。だから結構ごちゃごちゃ音をいっぱい入れてるんですけど、これがあるから、今回はスタジオワークをライブの再現性とか気にせず自由にやってみようかなと思えたんです。最近ネクライのライブは結構よくなってるから、あんまり気にせずやっていこうかなという感じです。
──でも“エレキの気持ち”、ライブで盛り上がる様子は想像できる感じがしますけどね。って、もっさが思いっきり首を横に振ってますけど(笑)。もっさ 大変です、これ。
朝日 最初、もっさが弾くことを想定してなかったんで、ボーカルギターがやるようなギターじゃない動きをしてるんですよ。だから……大変そうだなって(笑)。
──確かにギターもそうだし、キーボードもドラムもベースもいろんなことをやってる感じではありますよね。中村 そういうのが、初期感があるんですよね。
──そうそう。タケイ すごく難しい曲なんですけど、メロディの畳みかける感じとか、聴いててそれこそ若い頃の気持ちを……って、おじさんみたいなことを言ってる(笑)。よくないな。
──まあ事実、バンド組んでから数えたらもう9年ぐらい歳を重ねているわけじゃないですか。タケイ そう。だからドラマーとして、出てくるものが結構渋くなっちゃうんですよね。でもこういう曲だとしゃかりき動くみたいなマインドになれるんで、楽しかったです。
朝日 そういう感じを出せる曲が入ってるのもいいなって思いますね。
中村 キーボードも、一応再現性を持てるように、中の操作をこねくり回してやってるんで、ちょっと本番が怖いですね(笑)。
藤田 久しぶりにおもちゃ箱をひっくり返したっていう印象がありますよね。
朝日 これがなかったら結構渋いEPになっていたかもしれない。
──そうですね。だから、いろいろ酸いも甘いもかみ分けて、それなりに大人になってきたわけじゃないですか。朝日 はい。
──で、その大人になってきた蓄積のもとで曲を作ってるわけだから、ほっとけば渋くなっていくのは当たり前なんですよ。でもこのEPはそこをちょっと巻き戻してる感じがするんです。朝日 2020年の曲が平均年齢を下げてくれてる。それに、昔みたいに「やっちゃいけない」とか、変に意固地になることが、もしかしたら減ったのかもしれない。より自由にやれてるのかもしれないです。でも、実は結構聴きやすいんですよね、この曲。
──そう、取っ散らかってないんです。藤田さんが「おもちゃ箱をひっくり返したような」って説明してくれましたけど、でも意外と整理整頓されてるっていうか。朝日 ちゃんと欲しいおもちゃが入ってる。
──そこがやっぱバンド続けてきた蓄積でしょうし、そのうえでもう1回やってみたらどうなったかっていうのがこの“エレキの気持ち”なんでしょうね。朝日 結構ソロ仕事とかも重ねてきた中で、若い作家の曲とかもいっぱい聴く機会があって、勉強になることもいっぱいあるので。いろいろもらいながらやってこれていると思います。
私の中では結構今回から違う歌い方にシフトした気持ちではいるんですよ。かっこいいほうになってればいいなって(もっさ)
──そしてEPのラストを飾る“余計なこと”、この曲は本当に素晴らしいです。最初にライブで聴いたときはクセ系の曲なのかなって一瞬思ったんだけど、でも全然そうじゃなくて。まっすぐエモーショナルに刺さってくる曲でびっくりしたんですけど、これはどういうふうにできたんですか?朝日 これは、俺が弾き語りをする機会があって、その練習も兼ねてエレキギターを持ってスタジオに入ったんです。で、マーシャルをガチャガチャ鳴らしながらやってたらできました(笑)。最近は基本家で作ることが多いんですけど、エレキギターをおりゃって鳴らしながらできた曲で、すごくのびのび作れた感じはあります。やっぱり曲を作るときって、音に引っ張られることで作れることも結構あるんですよね。アンプで曲作ると本当にアンプで作ったみたいな曲ができるんです。その影響がめちゃくちゃデカかったなとは思います。
タケイ この曲はそもそも「ライブで育ててレコーディングに臨もう」っていう曲だったんです。だから録る前からずっとライブでやり続けていたので、もうレコーディングっていうマインドじゃなかったんです。生々しさみたいなのもちゃんと録れたなって。
藤田 うん。ライブでもっさが歌い始めてからドラムとベースともっさのギターでダーンって打つ、あの瞬間が異常に気持ちいいんです。そのぐっと塊になるみたいなライブの力強さを、できるだけライブのまま持っていきたいって思いながらレコーディングしましたね。
──歌もめちゃくちゃいいですよね、この曲。もっさ でもこの曲、歌うときにすごくいろいろ考えました。
──いろいろというのは?もっさ この曲、特にAメロは結構自分のタイミングでやっていい感じがしてて。レコーディングのやつはテンポ通りなんですけど、ライブとかだったら別にためてもいいし、自分のペースで始められる曲で。歌うときになるべくしゃべるように、話しかけるように歌ってみたいというのはずっとあったんですけど、これは結構そういうところができるかもしれないと思ったんです。本当に普段ボソボソしゃべるぐらいの感じで、ポツリポツリ思ってることを言うみたいな感じのニュアンスを表現できてたらいいよね、とか考えながらやりました。
──だからいつものもっさなんだけど、でもそのもっさの声がこの曲の場合は曲を引っ張っていくものになってるじゃない、Aメロのところは特に。もっさ そうです。ちゃんとあなたに話しかけてるんですっていう感じになっていたらいいなと思います。あと、私の中では結構今回から違う歌い方にシフトした気持ちではいるんですよ。かっこいいほうになってればいいなって。
──うん、かっこいいというか、強くなってる感じがするというか。それがちゃんとバンドを引っ張っていってる感じがする。朝日 確かにファーストアルバムの『ONE!』の頃に作ってたらこんな歌にはなってなかったと思う。
──だから一方ではその原点っていうか、青臭い部分っていうのもちゃんともう1回感じながら、でも間違いなく成長もちゃんと刻まれてるっていう意味では、すごくいいEPができたんじゃないですかね。朝日 うん、そうですね。
──そして秋からは久しぶりの対バンツアー「オーキートーキー!全国編 vol.7」があります。藤田 そうですね、2024年以来。
朝日 でも、前回も言うて3ヶ所ぐらいだったから。
藤田 大規模なのはめちゃめちゃ久しぶりですね。
──しかもこう、メンツがまたいいですね。朝日 うん、前から付き合いのあるバンドもいるし、今回初めましての人もいて。たとえばomeme tentenとか、ずっと気になってたんですよね。かっこいいマインドを持っているバンドだなって。Conton Candyも俺、ずっとやりたいって話してたので楽しみです。
藤田 お客さんも発表したタイミングですごい結構盛り上がってくれてたんで。
──そこで“エレキの気持ち”がどんな感じになっているのか楽しみにしてます。朝日 もう完璧にしますんで、もちろん(笑)。
藤田 完璧にしないと(笑)。頑張りましょう!