【バックステージ密着&ライブレポート】04 Limited Sazabys「YON EXPO’20」/Aichi Sky Expo

【バックステージ密着&ライブレポート】04 Limited Sazabys「YON EXPO’20」/Aichi Sky Expo - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ
昨年はさいたまスーパーアリーナを使ってド派手にバンドの存在感をアピールしたあの「YON EXPO」が、今年は彼らの地元・愛知で開催される――9月に発表されたこのニュースに心躍ったファンはたくさんいたと思うが、一体どんなライブになってしまうのだろう?と不安を抱いたファンもそれなりにいたと思う。そもそもEXPOというタイトルが象徴しているように、この企画の肝は、ライブハウスを根城にしてきた04 Limited Sazabysを、ステージ演出や映像、そして展示ブースなどを総動員して、立体的に表現することであった。この制限下で果たして「YON EXPO’20」は、砂上の楼閣とならずに、無事成功を勝ち取ることができるのか? 2日間のワンマンで彼らは、こんな心配がまったくの杞憂に過ぎなかったことを、完璧に証明したのである。

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会場は中部国際空港と直結した愛知県国際展示場・Aichi Sky Expo。それに合わせて今回の「YON EXPO’20」のコンセプトは「空港」の世界観で統一されている(券種もファースト、ビジネス、エコノミーにクラス分けされていて、これはフォーリミのライブではかなり異例なことだ)。初日のメンバー入りは午前11時で、眠い目をこすりながら到着と思いきや、ミニバンから降りてきた4人の目は心なしかギラついていた。約1年ぶりの「YON EXPO」というだけでなく、彼らにとっては9ヶ月ぶりとなる有観客ライブ。アマチュア時代を通じてもこんなに人前に立たない期間があくことはなかったというのだから、全員の闘志がみなぎるのもよくわかる。ただそうはいっても、楽屋に入って談笑する姿はいつものフォーリミ。そこはパンクバンドらしく、無駄な気負いは一切ない。
バックステージからアリーナ側に歩いていくと、そこには壮観なセットが既に組まれていた。

今回は空港の整備室をモチーフにしたセットで、所々に『CAVU』(彼らの1stフルアルバムのタイトルであるのと同時に、航空用語で「視界良好」を意味する)、『eureka』、『SEED』といった過去作のタイトルがパネルに刻まれているなど、気が利いた洒落も効いている。正直このご時世ということもあり、イベントそのものに制約が必要なのは覚悟していたが、ステージセットには一切の妥協なし。ここにはスタッフの心意気を感じた。アリーナにはぎっしりと椅子が敷き詰められているが、こちらはディスタンス確保のため、一席空けての着席となる。ただ客席後方から見る限りでは、平時のアリーナライブとさほど変わらない光景で、それがなんだか嬉しくもあり、頼もしくもあった。

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後ほど説明するが、この日のライブでは特効の演出もかなりド派手なため、リハーサルも時間を使って入念に行われる。バンドの音合わせでは、KOUHEI(Dr・Cho)が音頭を取りながら1曲1曲丁寧にアンサンブルや繋ぎを確認。舞台監督やローディーとの何気ないやり取りも、今日の彼らには新鮮の一言で、一つひとつのアクションを噛み締めるように行う様がとても印象的だった。刻々と時間は過ぎていき、初日開場時刻の17時30分になると、続々とオーディエンスが入場。無数のDickiesハーフパンツとVansオールドスクールのコーデを見るのも本当に久しぶりだ。本番1時間前に楽屋でソファに座るGEN(B・Vo)と少し談笑。「とにかく楽しみです」と語る彼の表情は清々しい。しばらくすると個室に入って声出しの練習を始め、本番に向けて徐々にテンションを高めていく。開演10分前、ステージ袖に最初に現れたのはHIROKAZ(G)、続いて3人もそれぞれ定位置につく。

【バックステージ密着&ライブレポート】04 Limited Sazabys「YON EXPO’20」/Aichi Sky Expo - Photo by 瀧本"JON…"行秀Photo by 瀧本"JON…"行秀
客電が落ちるといよいよ開演。まずは左右のビジョンとステージ中央の紗幕に、飛行機の機内アナウンスを模した映像が流れ、ライブの注意事項やお願いをコミカルかつ適確に伝えていく。次第に画面は空港の滑走路を歩くメンバーショットへと切り替わり、テロップには「彼らが待ち望み、皆さんが信じ続けた再会の場所 最低な世界はもう十分です 僕らの【Terminal】となる舞台 04 Limited Sazabysがお届けする最高な世界をお楽しみください!」の文字が。「それでは離陸します!」のアナウンスとともに、紗幕にメンバーのシルエットが映し出され、KOUHEIのシンバルカウントが刻まれる。1曲目はもちろん“Terminal”。紗幕が落ち、ステージと客席の間を隔てるものは何もない。声こそ出せないがAメロからハンドクラップで懸命に呼応するファンと、いきなり感極まるメンバーの再会は本当にドラマチックだった。

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メンバーの中でも特にリアルライブへのこだわりが強いRYU-TA(G・Cho)は、序盤から所狭しとばかりにステージ上を駆け巡る。彼が煽りを加えた3曲目の“Chicken race”が終わる頃には、バンドのウォームアップは完了。GENは感謝と喜びをストレートに伝えながらも、ときおり下ネタのジャブも放ちながら、客席との距離を縮めていく。KOUHEIが叩く軽快な2ビートが印象的な“message”から、矢継ぎ早に“fiction”と“escape”へ。続く“Alien”の冒頭では、銀煙弾とバカでかい音玉の演出であっと驚かせるなど、ここはフォーリミらしいジェットコースター級の展開が炸裂。「出てくる前に楽屋で、『これ、ステージに登場したら実は無観客っていう俺らへのドッキリじゃないの?』なんて話してたんだけど、こうやって見たら人がギッシリいて。俺ら結構、人気者だな(笑)」と語るGEN。冗談半分、長らく客前に立てなかったバンドマンの本音半分だと思う。そして「今日初めてやる曲です」という紹介から始まったのは、最新シングル“Jumper”。イントロとシンクロする形でステージ後方のゲートが開き、いきなり巨大スクリーンが登場。滑走路から飛び立つジェット機の映像が流れたかと思えば、後半は五月雨式にレーザーが打ち込まれ、ファイヤーボールが炸裂するなど、演出でも一切の妥協はない。必殺のキラーチューン“swim”とポップなアレンジが光る“midnight cruising”が終わる頃に「やっと落ち着いてきた」とGENから一言が漏れる。ここからは「YON EXPO」恒例のアコースティックコーナー。この日披露されたアコースティックアレンジは“Horizon”と“hello”の2曲だ。特に“hello”は、原曲のパワーポップなアレンジから一転、テンポを落とした歌を中心に添えることで、曲の世界観がガラッと変わった。フォーリミのアコースティックアレンジは、歌詞とメロディの素晴らしさを再び掘り起こす、宝探しのような行為だと思う。一旦バンドが袖に退いた後は、メンバー主演のコメディ映像がビジョンに流れ始めた。機長はGEN、副操縦士はRYU-TA、厄介な搭乗客はHIROKAZ、そしてキャビンアテンダントがKOUHEI(女装)という役回りで、客席の笑いを一気にかっさらっていく。お揃いのツナギに衣装チェンジした4人が再びステージに登場すると、セットリストはいよいよ後半戦に突入。鉄板のギターリフが炸裂する名曲“monolith”から“夕凪”に至るまで、この辺りからライブバンドとしての勘を取り戻したフォーリミは、水を得た魚のようにグルーヴの渦へと飛び込んでいく。

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途中“milk”で2番の歌詞が飛ぶというハプニングが起きて、後ほどGENが当該箇所をひとりで歌いなおすという生ライブならではの一コマもあったが、ファンはこんな瞬間も愛おしく感じたに違いない。セットリストがいよいよ終盤に差し掛かると、それまで抑制していた感情を解き放つようにGENがフランクな言葉で語りかける。「いろいろとストレスが溜まる時代だけど、俺たちにかかわってくれる人たちの心を少しでも軽くしたい。俺たちは複雑な世の中をシンプルにできる存在でいたい。だって俺たちを信じてついてきてくれる人たちを、俺たちは信じているから」。そして「自分自身に生まれ変われ!」という祈りにも似たGENのシャウトから始まった“Squall”は、アリーナ全体に美しい浄化の雨を降り注いでいく。本編ラストは、いつもだとダイバーが入り乱れて全員がぐちゃぐちゃになる“My HERO”。この瞬間だけは思わずありし日のライブハウスの光景がフラッシュバックしてしまったのだが、それは自分ひとりだけではないはず。

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鳴り止まないハンドクラップに応え、再びラフなTシャツ姿でステージに現れた4人。「っしゃ! 行くか」と気合を入れ直し、こちらも定番アンセム“Now here, No where”からアンコールがスタート。2013年にリリースされたこの歌が、まるで2020年の今の世相を予言していたかのように聴こえてくるから不思議だ。そして初日のラストはワンマンでしかやらない曲“Give me”。スクリーンにはこの日に至るまでのドキュメンタリー映像が流れ、そこには今日の開場直前に撮影したオーディエンスの姿も盛り込まれている。左右の花道を往復し、最後まで客席に感謝の思いを伝える4人。初日は無事に終演したが、楽屋に戻って話を聞いたら、GENの第一声は「ちょっと今日はエモすぎました(笑)」とのこと。特に前半は、地に足がつかないフワフワした感覚だったようで、やはり9ヶ月のブランクはプレイに影響していたようだ。

【バックステージ密着&ライブレポート】04 Limited Sazabys「YON EXPO’20」/Aichi Sky Expo - Photo by 瀧本"JON…"行秀Photo by 瀧本"JON…"行秀
演者と客の置きどころのない複雑な感情が交錯した初日は、おそらく二度と観ることができないメモリアルなライブであったが、2日目は一転してハラハラする瞬間が一切なく、終始ショーとしての完成度が際立っていた。随所でセットリストも変わっており、アルバム『SOIL』を最高傑作に推す自分にとっては、“Utopia”や“Milestone”を新たに聴けたことが嬉しかった。この日の本編ラスト前、MCで自分たちを支えてくれるスタッフに感謝の気持ちを伝えたところで、少し涙ぐんだGEN。2日間を通して最もセンチメンタルになった瞬間ではあったが、アンコールラストを予定になかったショートチューン“Remember”でカラッと締めくくったところに、彼らのプライドを見た。まだまだ感傷に浸るには早すぎる、そんな決意表明にも見て取れた。年末の各地でのフェス出演、そして年明けには盟友との「ONAKAMA 2021」を控えるフォーリミ。苦難な状況を決して言い訳にせず、ライブバンドとしての理想郷を追い求めながら、これからも4人は疾走していく。(徳山弘基)

【バックステージ密着&ライブレポート】04 Limited Sazabys「YON EXPO’20」/Aichi Sky Expo - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ
12月28日(月)発売の『ROCKIN’ON JAPAN』2月号では、04 Limited Sazabysのロングインタビューを掲載。「YON EXPO’20」についてメンバー4人で語ります。

ご予約はこちら


●セットリスト
【DAY1】
01. Terminal
02. climb
03. Chicken race
04. message
05. fiction
06. escape
07. Alien
08. Jumper
09. Kitchen
10. swim
11. midnight cruising
12. Horizon
13. hello
14. monolith
15. knife
16. mahoroba
17. 夕凪
18. Letter
19. milk
20. soup
21. Squall
22. My HERO
(アンコール)
EN1. Now here, No where
EN2. Give me

【DAY2】
01. Feel
02. Warp
03. climb
04. days
05. nem...
06. medley
07. midnight cruising
08. Jumper
09. fiction
10. Milestone
11. mahoroba
12. Horizon
13. soup
14. Night on
15. monolith
16. Alien
17. Utopia
18. Letter
19. Shine
20. hello
21. Squall
22. Terminal
(アンコール)
EN1. swim
EN2. Give me
EN3. Remember

※2日間のSETLISTプレイリストを各サブスクリプションサービスで公開中



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