11月初め、シーアが自身のヌード写真をファンに売りつけようとしたパパラッチへの対応として、SNSに自身のヌード写真を公開した。シーアがパパラッチへの反撃としてとったこの大胆な行動は、ファンたちから賞賛の声が上がった。
このように、海外アーティストと彼らのプライベートをネタにするパパラッチとの攻防は、事あるごとに話題となる。シーアのように真っ向から反撃する者もいれば、暴力に任せる者、あらゆる手を使ってパパラッチの目から逃げる者、または法に委ねる者と様々だ。ここではrockinon.comに掲載した記事などから、過去アーティストたちがどのようにパパラッチと対峙してきたのかをまとめた。
ガンズのアクセル、空港でパパラッチと乱闘
2009年12月10日、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが、アジア・ツアーのため台湾に向かう途中のロサンゼルス国際空港でパパラッチ相手に乱闘騒ぎを起こす事件が発生。メディアによれば、当初1人のパパラッチとの間にトラブルが起こったが、最終的にはそれに関わった数名が流血するほどの騒動になった、と報じられた。
その後、バンド側はMySpaceブログを通じてアクセルがパパラッチから「いわれのない暴行」を受けたと主張し、アクセル本人による暴力行為を否定。このブログについてアクセル本人は後日「声明を出すよう指示した覚えない」とバンドのマネジメント側を非難しつつ「俺の考えでは、今回のナンセンスはマスコミによる一種のでっち上げの宣伝行為だ」と一連の騒動をまとめた。
カニエ、空港でパパラッチに襲いかかる
2013年7月、ロサンゼルスのLAX空港にてカニエ・ウェストが自分を待ち構えて挑発してきたパパラッチ・カメラマンを追い回し暴行を働いたと報じられた。
この時の様子は現場にいた他のカメラマンらによって動画に収められており、問題のカメラマンにカニエが摑みかかった後、カニエはカメラマンのカメラを取り上げようとしたため強盗未遂罪として検察に送検される予定だった。
さらに騒動は被害を受けたカメラマンが民事訴訟を起こす自体に発展。結果、カニエが暴行の罪を認め、互いが和解するに至った。
ジャスティン・ビーバーとパパラッチの歴史
ジャスティン・ビーバーとパパラッチの衝突はいつもニュースになる。それはパパラッチ側もジャスティンの反応を面白がっているからだ。
2013年3月、ホテルから移動用のワゴン車に乗り込んだジャスティンのところに詰めかけてきたパパラッチ・カメラマンらが「ファッキン頭おかしいだろ」などと罵倒する様子を捉えた動画がネットに出回った。この動画を観たのか、リアム・ギャラガーはTwitterにて「すげえ ジャスティン・ビーバーマジ最強! LG x」とジャスティンに対してエールを送っている。
それから3ヶ月後、2013年6月にはフロリダ州マイアミのスタジオの戸外で自身のセキュリティにパパラッチのカメラを取り上げさせたことが報じられた。
一連のパパラッチの行動に徐々に大人な対応を心がけるようになったジャスティン。だが、パパラッチから車での尾行を受けている際に起こった衝突事故では、同じようにパパラッチからの尾行による事故で亡くなったダイアナ妃の死を引き合いに出し、その一連の発言は当時話題を呼んだ。
2017年になってもジャスティンとパパラッチの闘いは終わらない。現地時間7月26日、自身が運転するトラックでパパラッチを跳ねてしまい、軽傷を負わせていたことが明らかになった。
被害に遭ったパパラッチは自身のInstagramに病院で撮影したと見られるコメント動画を投稿。事件当日は誕生日だったようで、「誕生日になんてこった。ジャスティンに跳ねられちまった。でも全然大丈夫だし、彼は良い奴だったよ」とコメントし、事は丸く収まった。
アーティストによっては巧妙な手を使ってパパラッチを欺こうとした者もいる。
リリー・アレン、ショッピング袋で脱出
リリー・アレンは深夜から早朝にかけてロンドンのソーホーにある人気のナイトクラブPUNKで遊んでいた。彼女はクラブ出入り口で待ち構えるパパラッチたちに撮られないように、インテリア・ショップ「Habitat」の巨大なショッピング袋に自分を入れ、友人3名に抱きかかえられながらクラブから脱出したという。
友人達はリリー入りの巨大な袋をクラブ近くの廃墟ビルに運び、そこで待機していた車に袋ごとリリーを押し込んだのだとか。これには周囲にいた来場者、パパラッチたちも呆気にとられてしまったという。だが、結局はその一部始終がばっちりと激写されタブロイド誌や「Daily Mail.com」に写真が掲載されてしまった。
マドンナ、影武者を用意
2012年、イスラエルのテルアビブ公演から始まる『MDNA』の世界ツアーに乗り出すマドンナは、ツアー中のパパラッチ対策として数人の影武者を雇い入れていると「The National Enquirer」紙が伝えた。
記事中の関係者によれば「マドンナ本人の思いつきで、自身の身の安全を確保してオフステージの時間をプライベートとして過ごすための方策なんですよ」と語っている。
そして、法の力を使ってパパラッチと対抗するアーティストもいる。
エロスミスのスティーヴン・タイラー、ハワイでパパラッチ防止法を可決させる
エアロスミスのスティーヴン・タイラーはハワイでパパラッチ防止法を州議会で可決させたとして、これを盟友ジョー・ペリーも絶賛している。
法案はセレブリティがハワイ州の中で望まない写真撮影や録音をされた場合に撮影者や録音者を起訴できるというもの。2013年3月11日にハワイ州議会上院で可決され、「スティーヴン・タイラー法」と呼ばれていると、当時「Billbord」誌は伝えていた。
ハリー・スタイルズ、パパラッチと裁判に
パパラッチに対して往来で自分を追いかけたり、自宅前に陣取ったりする行為などをプライバシー侵害として裁判所に訴えを起こしたワン・ダイレクションのハリー・スタイルズ。彼は、この裁判で見事に勝訴を勝ち取っている。
ハリーはそれまで何度かパパラッチ側に対応の改善を求めていたが叶わず、法廷に訴え出ることになったと法的代理人は説明。ニコラ・デイヴィス判事が言い渡した裁判所令によれば、ハリーを車やオートバイで追跡すること、ハリーの行動を監視すること、ハリーの居住地から半径50メートル以内で張り込み行為などを行うことを、名前が特定されなかったカメラマン数名に対して禁止した。
アーティストによってはパパラッチからの被害を作品化してしまう人も。
ブリトニー、PVでパパラッチを撃退
ブリトニー・スピアーズは、7thアルバム『ファムファタール』からの3rdシングル“I Wanna Go”のミュージック・ビデオの中でパパラッチたちへの思いの丈を吐き出している。
2011年5月にロサンゼルスで撮影された同ビデオは、記者会見で失礼な質問をしてくる記者、外出すれば、かわし続けてもゾンビのように追いかけてくるパパラッチ、そういった状況にうんざりしたブリトニーが、いよいよ攻撃に転じるという内容。このビデオについてブリトニーは「現実の世界でもデビューからこれまで、ずーっとパパラッチとの戦いだったわ! 演技だったけどマイクを武器に彼らを退治できて、すごくスッキリしたわ!」と語っている。
Britney Spears - I Wanna Go
テイラー・スウィフト、パパラッチへの対処法は「後ろ向きに歩く」
パパラッチへの対処法としてテイラー・スウィフトの手法はなかなか奇想天外なものだ。テイラーはパパラッチからの視線やカメラをかわすため「後ろ向きに歩く」という方法をとることがあったよう。
2016年に「VOGUE」が報じた記事では、パパラッチを欺くためカメラに対して後ろを向いて車に乗り込むテイラーの様子が捉えられている。
その時の映像は今もYouTubeにて見ることができる。
https://youtu.be/UDGKqWyzuRs
ケイティ・ペリー、パパラッチのカメラを利用して宣伝?
今年6月に4thアルバム『ウィットネス』をリリースしたケイティ・ペリーは、パパラッチのカメラを利用して自身の作品への期待感を煽っていた。
今年4月に「TMZ」などで報じられた記事では、「TOP SECRET」、「KP4」と書かれた封筒を使って顔を隠すケイティの姿が。封筒の中身は今でも謎だが、当時リリース前であった『ウィットネス』の存在をほのめかす有効なコマーシャルとなったのは間違いないだろう。
両者のいたちごっこの攻防戦はどこまで続いていくのだろう。
アーティストとパパラッチたちの仁義なき10の戦い
2017.11.23 12:00