続パティ・スミス。本人による『バンガ』全曲解説&解説中に泣いちゃったこと、ボブ・ディラン、オバマ、『ハンガー・ゲーム』などについて

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すすすすすいません。「続」って言っても、5月30日のブログの続きです。昨日ニュースでパティ・スミスが紹介されていて思い出しました(汗)。

アメリカでも非常に評判が良く、ここ数作で一番良いと言われているパティ・スミスの『バンガ』。日本盤が8月8日発売で、来日も決定。なので、前回の続き、本人参加で行われたリスニングセッションについてご紹介したいと思います。
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/PattiSmith/

ご覧のように、ブログにあるまじき長さなので、気が向いた方だけでいいので、来日するまでの間に読んでみていただければ幸いです……すいません。

日本の震災について歌った”フジサン”を紹介したブログはこちらです。
http://ro69.jp/blog/nakamura/68499


ちなみにこのアルバムは、彼女の声がこれまでになく優しく響くのでそれについてまず訊いてみました。
「『Gone Again』からの数作というのは、もちろん夫や自分に近い人達を次々に失ったから、その哀しみが溢れていたし、またアメリカの政治への疲れや、怒りというものがどうしても込められたいたと思う。とりわけ『トランピン』は非常に政治的な内容になったと思うしね。

だけど、このアルバムでは、私の愛する人を失ってから随分と時間が経ち、もちろんすべての人達をとても恋しく思ってはいるんだけど、夫のことは毎日考えているし。それからロバート(・メイプルソール)のことも、リチャード・ソールや、私の兄と両親のこともね。だけどようやく幸せを感じられるようになったのかもしれない。すごく大変な思いをして、ようやく向こう側に辿り着けたような気がしているの。もちろん、それを意識したわけじゃないんだけど、あとでこのアルバムがこれまでのアルバムとどうして違うのかしら?と自分で考えた時に自分なりに見付けた答えがそれだったの。子供達も健康に育ってくれたし、というね」

また、この日ちょうど、ボブ・ディランがオバマ大統領から大統領自由勲章というのを受け取った日でもあったので、それについて訊いた人がいました。
「おめでとう、と言いたい。それから、それがオバマからもらえたということが素敵だと思う。ボブ・ディランの曲というのは市民権運動に深く関わってきたわけだし。私が若い時に訴えかけてきたのも彼の曲だったわけだしね。それでボブ・ディランは今71歳くらいだと思うけど、これまでの人生で色々と経験してきて、今オバマ大統領から勲章をもらうというのは、彼にとっても、すごくスペシャルなことなんじゃないかと思う。もちろん、勲章なんてもの、簡単に皮肉な反応もでると思うけど、でも、オバマからボブ・ディランに渡されるということには、何かしらの美があるように思う。だって、これがオバマじゃなくて、ニクソンから勲章を受け取らなくちゃいけなかったら彼も相当きつかったと思うから(笑)。だから起きるべき時に起きたと思う」

以下アルバム全曲について、パティ・スミスの解説です。


1) ”ディス・イズ・ザ・ガール”
「この曲はエイミー・ワインハウスへの追悼を込めて書いた曲なんだけど、私は彼女の声に本当に惹かれていたのよね。

私は自分のことを素晴らしいシンガーとはまるで思っていないんだけど、でもシンガーだから、人の声が好きだし、シンガーから何かを勉強するのが好きで、とりわけ女性シンガーが好きなのよね。彼女達から学ぶことがすごくたくさんある。それで、エイミー・ワインハウスは本当にずば抜けた声の持ち主でしょ。本当に信じられないくらい素晴らしいと思うの。しかも、彼女は知識があったと思うし、ジャズから、R&Bから、ドゥーワップから本当に理解していたと思うの。しかも、彼女は私の世代よりもっと前の世代をも代弁するような、本物の声を持っていたと思うし。それでいて、まったくレトロではなくて、現代のものとして歌っていたのよね。他の人がどう頑張ってもできないことを彼女はやってのけていたの。

もちろん、彼女の歌を聴けば聴くほど、彼女の生活スタイルを見逃すことはできなくて、あの声を台無しにするんじゃないかといつも心配で心配で仕方なかった。でも、まさか死ぬとは思ってなかった。しかも、彼女は私の子供と同じ年でもあるから、とりわけ悲しかった。この曲は、彼女の声に惹かれたことが元で書かれたの。その才能を取り上げてしまった生活スタイルについては無念としか言いようがない」

2)”ナイン”
「”ナイン”は私の良い友達であるジョニー・デップの誕生日の贈りものとして書いた曲なの。

彼の誕生日は6月9日なんだけど、彼が『ラム・ダイアリー』を撮影している時に、私もプエルトリコにいて、彼の誕生日が間近だったのに、プレゼントを何も用意してなかったの。だけど、周りには何もなかったから、あげられそうなものと言えば、チョコレートをかけた蚊くらいしかなかったのよね(笑)。だからこの曲を書いたの」

3)『バンガ』というアルバムタイトル、曲について。
「『バンガ』は犬の名前なの。ロシア作家ミハイル・ブルガーコフが書いた傑作『巨匠とマルガリータ』に出てくる登場人物ポンティオ・ピラトの飼っていた犬の名前なのよね。それでなぜ敢えてそんなマイナーなキャラクターをタイトルにしたのかというと、パンティオ・ピラトは、天国の端っこでイエス・キリストに会うために2000年間待っていた人なんだけど、彼の犬バンガもご主人様の傍らに一緒に居続けたのよね。主人を信じて2000年も一緒に待ってあげた犬はみんな曲くらい書いてもらう権利があると思ったの。

この曲はつまり、愛と忠誠心について歌ったものであり、それから、私のバンド・メンバーや私たちをこの40年間支えてくれた人達に捧げた曲でもあるの。つまりみんなのために書いた曲なのよね。

この曲はすごくシンプルな曲なんだけど、すごく大事なことがあって、犬の鳴き声が入っているんだけど、それは私の息子がやっているということ!彼とメグ・ホワイト(妻)は犬を5匹も飼ってるから、ジャクソンは犬の物まねが最高に上手いの」

4)”マリア"
「私が70年代に友達だったマリア・シュナイダーについて書いた曲なの。彼女は『ラストタンゴ・イン・パリ』とか『さすらいの二人』に出演していた女優なの。ギターソロを弾いているのは私の息子なの。彼は犬の鳴き声以外にもできることがあるのよね(笑)」

5)"アメリゴ"
「アメリゴ・ヴェスプッチ(15世紀のイタリアの探検家)が、新しい世界を探検することについて」

6)"エイプリル・フール"
「エイプリル・フールの日に生まれたロシアの作家ニコライ・ゴーゴリについて」

7)"モザイク"
「ユニバーサルなラブ・ソング。実はこの曲を書いた後に『ハンガー・ゲーム』を観て、弓矢を持った女の子の姿にどこか神秘的なものを感じて少し書き直したのよね」

8)”タルコフスキー”
「ロシアの偉大な映画監督タルコフスキーのために書いた詩で、とりわけ彼の映画『僕の村は戦場だった』に捧げられたものなの。その映画は、少年が戦争に行って母親が殺されるところを目撃するんだけど、彼は、母親が生きていて、彼に話しかける姿を想像し続けるという物語なの。この曲ではとりわけ私の娘が素晴らしいピアノを弾いてくれたわ」

9)"セネカ"
「このアルバムのジャケット写真を撮ってくれたSteven Sebringの息子さんであり、私のGodsonのために書いたララバイなの。フランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールに『ゴダール・ソシアリスム』に出演するように頼まれて、それはクルーズでの撮影されたから、私とレニー・ケイは船の上で暇な時間がたっぷりとあって、その間に書いたものなの」

10)"コンスタンティンズ・ドリーム"
「これはスタジオで即興で歌ったんだけど、歌詞は、私が環境について見た悪夢が元になって書かれたものなの。ある時、アッシジのフランチェスコが目から血の涙を流す酷い夢を見たのよね。それで私はその時イタリアにいたんだけど、本当に最悪な気分になって、教会に行ったの。そしたら、そこに、”Constantine's Dream"の絵があって心を打たれたの。

それでその絵を描いた画家ピエロ・デラ・フランチェスコについて勉強し始めたら、彼は、クリストファー・コロンブスが”新大陸”に到着した日に亡くなったと分かったの。それは面白いと思って次にコロンブスについて勉強をしたの。そういうことを2年間くらい勉強して、ある日曲ができたから、スタジオに入って歌ってみたの。即興の曲はどれも、私がその時熱心に勉強していたものについて歌うことが多いの。これは2回歌ってみて、そのうちのひとつを採用したの。この曲は、私たちの生きる環境についての懸念を歌ったものでもあるわ」

11)"アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ”
「これはニール・ヤングの書いたちょっとした曲なんだけど(笑)、私と息子のジャクソンと娘のジェシーでライブ・レコーディングしたの。

(”Looking at Mother Nature on the run in the nineteen seventies”のところを” 21st century”に変えて子供達が歌う)。トニー・シャナハンの甥っ子とその友達で、3歳半の女の子も一緒に歌ってくれたのよ……(泣き出す)ごめんなさいね……あのかわいい女の子の歌う姿を思い出すだけで………彼女は本当に歌いたくて仕方がなかったのに、でも、Centuryって中々言えなかったのよね。しかも、”Centuryって何?”ってその意味も分かっていなかったの。とにかくあの姿を思い出すだけで胸が一杯になるの。

それと自分の子供達と演奏するのは、バンドと演奏するより大変なのよ。子供達はまるで私のボスのように振る舞うからね。でも私は自分の子供達と一緒に演奏するのが好きなの。それは、一緒に演奏していると彼らの父親の存在を感じるから。彼は偉大なミュージシャンだったでしょ。それで子供達ふたりとも非常に優れたミュージシャンなんだけど、ふたりが授かったものは、間違いなく彼から引き継いだものなの。ふたりが私から授かったものもあるんだけど、でも音楽的な才能は間違いなく彼から授かったものなの。それを一緒に演奏している時に感じるの。だから本当に素敵なの……私は本当に自分の子供達が大好きなの(笑)。苦労させられるんだけど、でも大好きなの(笑)」

12)ポーナストラック:”ジャスト・キッズ”
「この曲はロバート・メープルソープに捧げた曲で、私の書いた本『JUST KIDS』にも深い関わりのある曲なの。とりあえず残っていた曲を適当に入れたわけではなくて、このために大事に取ってあった曲なの。それから宣伝トークみたいになりたくないんだけど、このスペシャル・エディションのデザインが本みたいですごく気に入っているの。将来CDというのは、こういうものになっていくんじゃないかと思うわ。本当のコレクターとか、本が好きな人が手に取って愛せるような形にね」
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