キラーズ、武道館に立つ! 5年ぶりの来日公演はまたもや圧巻のロック・エンターテイメント・ショウだった

キラーズ、武道館に立つ! 5年ぶりの来日公演はまたもや圧巻のロック・エンターテイメント・ショウだった - Photo by Rob Loud, @robloud Photo by Rob Loud, @robloud 

キラーズのライブは、いつだって素晴らしい。彼らのライブは、最高のロック・エンターテイメントをオーディエンスに届けようとするブレない意思が、常にみなぎっている場所だ。どんなシチュエーションでもそれは変わらないけれど、やっぱり彼らと日本のファンにとって初の武道館公演となった今回のステージは、特別な意味があったんじゃないかと思う。残念ながら集客的には課題の残った公演だったし、また、誰のせいでもない不可抗力だったとはいえ、またもや彼らのキャンセル伝説を更新してしまった波乱含みのツアーでもあったが、オープニングの“The Man”のイントロと同時にいきなり大量の紙吹雪が噴射され、大歓声が轟いた瞬間、ようやくキラーズが彼ら本来のスケールに相応しい場所に、ここ日本で立つことができた感慨が溢れ出てしまったのだ。

この日のショウは新作『ワンダフル・ワンダフル』のナンバーはもちろんのこと、新旧アルバムからバランスよく選曲されたベストヒット的セットリストで、あの曲もこの曲もフックの嵐、キラー・フレーズの嵐で、改めてキラーズが積み重ねてきたスタジアム級ポップ・ロックの偉業の数々に驚かずにはいられない。とりわけ今回の彼らのパフォーマンスは曲によってモードを明確にスイッチングしていくメリハリの効いた構成で、武道館のスケールを余すことなく使い切っている。“Somebody Told Me”や“Run For Cover”はハードにガツガツ刻まれるリフといい、音を外してもお構いなしでシャウトを繰り返すブランドンといい、驚くほどパンキッシュなアレンジ。

その一方で“The Man”や“Shot At The Night”は、女性コーラスをフィーチャーしたファンキーなソウル・チューンで、ダーク&ゴシックなシンセ・イントロで幕開けた“Smile Like You Mean It”を筆頭に、中盤以降はキラーズのルーツである80Sニューウェイヴ調のナンバーが際立っていた。

キラーズ、武道館に立つ! 5年ぶりの来日公演はまたもや圧巻のロック・エンターテイメント・ショウだった - Photo by Rob Loud, @robloud Photo by Rob Loud, @robloud 

ブランドンのプレスリー、はたまたプリンスばりの過剰なショウマンシップも健在だ。『ワンダフル・ワンダフル』ツアーはデイヴ(G)とマーク(B)が参加しておらず、ブランドンとロニー(Dr)のみがサポート・メンバーと共に回っているツアーであるという特殊な事情もあってか、今回は以前よりさらにブランドンのフロントマンぶりが際立っている。同時に、 “Somebody Told Me”のようにパンクの初期衝動的パフォーマンスが時々顔を見せるのは、上記の事情によって今回のキラーズは「ライブ・バンド」として新鮮な編成で、バンド・アンサンブルを一から組み立て直す必然があったからかもしれない。

オーディエンスとのコール&レスポンスがビシバシ決まっていく中盤の流れは、5年前の熱狂の新木場スタジオコースト公演を彷彿させる盛り上がりで、武道館に集った誰も彼もが5年間、この日をずっと待ち望んでいたことがひしひしと伝わってくる。ブランドンが朗々と歌い上げる冒頭のピアノ・バラッドにロニーの8ビートが叩き込まれ、一気にオーケストラルなエモ・ポップへと吹き上がっていく“A Dustland Fairytale”、「この曲、覚えている?」とブランドンが言って始まった“Runaways”でさらに加速、そして再び紙吹雪と紙テープが舞い散る中での大合唱となった“All These Things That I've Done”と、後半はもう完全に高揚のインジケーターが常時振り切れた状態。キラーズのナンバーには途中で必ず高揚を数段階一気に上げるスイッチがあるのだが、そのある種のお約束をぶっちぎり、最初からスイッチが押しっぱなしになっているような過剰な多幸感だったのだ。

キラーズ、武道館に立つ! 5年ぶりの来日公演はまたもや圧巻のロック・エンターテイメント・ショウだった - Photo by Rob Loud, @robloud Photo by Rob Loud, @robloud 

暗闇で大量のスモークが焚かれる中、色とりどりのレーザー光線が交錯するSF的演出効果に加え、極限までヴォコーダーエフェクトを効かせたロボットボイスがもろにクラフトワークなイントロも最高だった“Human”は、そこから一気に生声に、バンド・サウンドへと転じるカタルシスがたまらない! アンコールラストの“Mr. Brightside”は、スチュアート・プライスのリミックス・バージョンとオリジナル・バージョンを二段重ねで焦らしていくニクい構成だ。そしてオリジナルに差し掛かったところで客電が点灯、真昼のような明るさの中でステージの彼らとファンが万感の思いを噛みしめるフィナーレとなった。

「5年ぶりの日本だよ。5年……5年は長すぎるよ! 次来るときは5年も待たせないからね」と言っていたブランドン。この言葉を信じて、再会を待ちたいと思う。 (粉川しの)

キラーズ、武道館に立つ! 5年ぶりの来日公演はまたもや圧巻のロック・エンターテイメント・ショウだった - Photo by Rob Loud, @robloud Photo by Rob Loud, @robloud 

<SETLIST>
The Man
Somebody Told Me
Spaceman
The Way It Was
Shot at the Night
Run for Cover
Smile Like You Mean It
For Reasons Unknown
Tyson vs. Douglas
A Dustland Fairytale
Runaways
Read My Mind
All These Things That I've Done
When You Were Young
(encore)
Out of My Mind
Human
Mr. Brightside
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