indigo la End@中野サンプラザ

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indigo la End@中野サンプラザ
「初めてのホールということで……なんか、不思議な感じがします」と川谷絵音(Vo・G)は話していたが、川谷絵音、長田カーティス(G)、後鳥亮介(B)、そしてサポート・メンバーとしてツアーを回ってきた佐藤栄太郎(Dr)が鳴らすバンド・アンサンブルは、広大な空間をポップ理想郷へと塗り替える輝度と豊潤さに満ちていた。2月4日にリリースしたメジャー1stフルアルバム『幸せが溢れたら』を携えて、全10都市11公演を巡るワンマン・ツアー「幸せが溢れたら」のファイナルであり、indigo la Endにとって初のホール公演となる東京・中野サンプラザでのワンマンライヴ。昨年8月の後鳥加入の後、今年1月にはドラマー=オオタユウスケの脱退を発表、と次々に大きな変化に直面しながらも、自身の音楽をどこまでも高めていこうとする川谷とバンドの意志が、至上のサウンドスケープを生み出していた。

indigo la End@中野サンプラザ
indigo la End@中野サンプラザ
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川谷/長田/後鳥/佐藤に加え、ササキミオ&服部恵津子のWコーラスを擁した6人編成で行われたこの日のアクトは“ワンダーテンダー”でスタート。男女3声のコーラス・ワーク、伸びやかに絡み合うツイン・ギター、後鳥&佐藤のスリリングなビートが、時にミステリアスな緊迫感で、時に心震わせるセンチメントをもって、中野サンプラザの空気を刻一刻と塗り替えていく。『幸せが溢れたら』の楽曲群をライヴの核として盛り込みながら、『あの街レコード』(2014年)からの“ダビングシーン”“染まるまで”、1stフルアルバム『夜に魔法をかけられて』(2013年)の“抱きしめて”といった楽曲群を織り重ねながら、色鮮やかな音空間を繰り広げていく。

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初ホールの緊張感を明かしつつ「ありがとうございます。みんなあったかくて……」と観客への感謝を伝える川谷に長田がギターでクマムシ“あったかいんだからぁ♪”のメロをかぶせたり、随所でボケをかます佐藤に川谷&長田が突っ込んだり――といった絶妙なコミュニケーションの数々も、ライヴの高揚感をいやが上にも煽り立てていた。何より、“ハートの大きさ”での目も眩むような加速度、“実験前”でカオティックなまでにアグレッシヴに響かせた音像のスケール感……佐藤を迎えて初めてのツアーとは思えないほどに、4人の演奏はどこまでも有機的なしなやかさにあふれている。「あのアルバムの中にはオオタさんの音がある。これからも大切に聴いてほしい」と『幸せが溢れたら』について語っていた川谷。「これからも僕らは変わっていくかもしれないですけど、indigo la Endをよろしくお願いします」と呼びかける言葉に、惜しみない拍手が湧き起こる。川谷本人も出演のPVとともにひときわドラマチックに響いた“幸せが溢れたら”は、indigo la Endという表現に注ぐ川谷の真摯な情熱そのものだった。

indigo la End@中野サンプラザ
ラストの“幸せな街路樹”で雄大な風景を描き上げて本編を終えた4人+2人。アンコールの冒頭、川谷から「今回ツアーを一緒に回ってもらった佐藤栄太郎が、今日からindigo la Endの正式なメンバーになります」という発表が飛び出すと、会場が驚きと感激の大歓声に包まれる。「彼とじゃないとできない音楽があるなって気づいた」(川谷)という言葉とともに披露された“名もなきハッピーエンド”が、新たなスタートを切った4人の「これから」を祝福するように広がる。“素晴らしい世界”の最後、幕が閉まりかけた舞台にひとり残った川谷がオフマイクで声の限りに歌い上げる《大丈夫そうだ》のリフレインが、熱い余韻とともに胸に残った。彼らのさらなる進化をリアルに予感させる、最高のステージだった。(高橋智樹)

■セットリスト
01.ワンダーテンダー
02.夜汽車は走る
03.ダビングシーン
04.花をひとつかみ
05.染まるまで
06.抱きしめて
07.ハートの大きさ
08.billion billion
09.まなざしの予感
10.実験前
11.心ふたつ
12.幸せが溢れたら
13.瞳に映らない
14.つぎの夜へ
15.さよならベル
16.夜明けの街でサヨナラを
17.幸せな街路樹

(encore)
18.名もなきハッピーエンド
19.素晴らしい世界
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