【科学でロック】優等生が一番好きなのはメタル? 「メタルこそが真のアウトサイダーの声」とも

【科学でロック】優等生が一番好きなのはメタル? 「メタルこそが真のアウトサイダーの声」とも

ロックには、顕微鏡では解き明かせない魅力があるのはこのサイトをご覧の方々ならもちろんよくご存知の事実。
しかしながら、科学によってロックのちょっと意外な側面を覗き見ることもできる。「科学でロック」と題し、そんな側面をご紹介してみたい。

ウォーリック大学が2007年に発表した研究結果によると、イギリスの11歳から19歳までの、学業成績がトップ5パーセントを占める学生の間ではメタルが一番人気の高い音楽だったという。

この統計結果はイギリスの11歳から19歳までのあらゆる教育機関で就学している学生で、その教育機関のトップ5パーセント内の成績を収めている成績優秀者を調査対象としてウォリック大学が行った研究をベースにしたもの。それによれば、対象になったおよそ12万人の学生が好きな音楽として挙げたものの中で最も多かったのがメタルだったと「The Guardian」紙が伝えている。

記事はメタルやへヴィ・ロック専門誌「Kerrang!」のライターとして知られるIan Winwoodによるもの。その長い経験を通して、メタル・ミュージシャンの中にはほとんど乳児レベルのIQしか持ち合わせていないのではないかと思える人物も確かにいた一方で、そのまったく逆のケースも多数いたと指摘している。

しかしそれ以上に驚かされるのは、メタルやへヴィー・ロックの部外者だと誰もが、メタラーは全員頭が悪いと信じ込んでいて、その考えを改めようとしないことだという。

「アトランタ出身のメタル・バンド、マストドンがメルヴィルの小説『白鯨』をベースにしたコンセプト・アルバム(『レヴァイアサン』)を作ろうが、カリフォルニア出身のスライスがトマス・ピンチョンの『V.』に触発されたアルバム(『Vheissu』)を作ろうが、(メタルを馬鹿にする部外者には)まるで関係ないのだ。重要なのは、ザ・スミスが好きだという人の方が頭がよさそうだと思え、スレイヤーが好きだという人はそうではないと一般的に思えるということなのだ」とイアンは世間一般のメタラーへの思い込みの激しさについて指摘する。


いずれにしてもこうした傾向は逆に、メタルが虐げられた側の音楽となっていることを確かなものにしているとイアンは指摘している。

ウォリック大学の調査の対象になったトップ5パーセントの学生たちの間でも、メタルが好きな学生は「自分に自信が持てず」「友人や家族との人間関係がうまくいかず悩んでいる」傾向が強いことは重要なポイントだとイアンは指摘している。

そうした悩みが引き起こす行動は「自傷行為に及んだり」「クラブに行っても変な踊りしかできない」などと学生によって千差万別だというが、大音量と疎外感が孤独な友同士を確実に引き合わせることになるのだとイアンは説明し、次のように言い切ってみせる。

一般的なイメージでは、孤独感にさいなまれる少年少女にとって最も好まれるアーティストはモリッシートム・ヨークだと思えるのかもしれない。しかし、実は最も好まれているのはメタルであって、これからもずっとメタルであり続けるのだ。それはメタルこそが真のアウトサイダーの声だからだ。これはよく考えればすぐにわかることだ。


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