【連載】奇跡の再始動STORY 〜ELLEGARDEN編〜

【連載】奇跡の再始動STORY 〜ELLEGARDEN編〜
【連載】奇跡の再始動STORY 〜ELLEGARDEN編〜
平成から令和へと元号が変わり、もうすぐ1ヶ月が経とうとしている今日この頃。この連載「奇跡の再始動STORY」では、平成という時代に解散や活動休止し、そして再び平成で復活を果たしたバンドやグループ――彼らの歩みが止まってしまったあの日から、一体どんな未来=「今」に繋がっていたのかを辿っていく。
その記念すべき第一回目では、ELLEGARDENを特集する。


■はじめから揺るがざるシンプルな信念

1998年に千葉で結成されたELLEGARDEN。だが、私は当初から彼らを追いかけていたわけではない。ただ、のちのち当時を振り返ってもらったインタビューでは、自信は最初からあったこと、いい音楽を鳴らしていればきっと何かに繋がるだろうと思っていたこと、だけど最初のCDは全く売れなかったことなどを語ってくれている。
いわゆる幼馴染などではなく、経験を積み、ある程度の年齢になってから、ELLEGARDENをやるために集まった4人。最初から楽曲のクオリティが高かったのも納得だが、それでいてパフォーマンスは、決して頭でっかちではない、ピュアなものだった。
私が初めてライブを観たのは2002年6月1日、今はなき原宿アストロホール。1stアルバム『DON'T TRUST ANYONE BUT US』のリリースツアーだった。細美武士(Vo・G)がウィーザーのTシャツを嬉々として着ていた姿や、フレンドリーなMCを長々としていたこと、そして日本人にも馴染みやすいメロディや世界観を持った楽曲(“指輪”など)が印象に残っている。結成から実力と人気を積み重ねていたこともあって、ライブはワンマンながら超満員。それでも当時のELLEGADENは序章という印象があった。
私が執筆していたライブレポートでは、エモという言葉で彼らの音楽を表現している。そう、彼らがメロディックパンク色を強めていったのは2003年リリースの2ndアルバム『BRING YOUR BOARD!!』からだった。ただ、そんな中で、早耳の女の子のみならず男の子もフロアを埋めていた事実や、私のライブレポートに書かれていた「今の時代に響く繊細さを如実に表現する音楽」という言葉からは、すでにその後に通じるものを持っていたこともわかる。

■初期衝動を増幅させながら、仲間たちと作り上げた新時代

『BRING YOUR BOARD!!』リリースツアーの渋谷クラブクアトロの頃から、ライブの景色も変わっていっていき、彼らがたくましくキッズを引っ張り、キッズがダイブを繰り広げるようになった。アルバムそのものも、当時のインタビューで細美が「やっぱりやりたいことしかやんない!」と振り切ったと語っていた通りの爆発力があり、彼らの状況にも火が点き始めた。
当時は、今以上にバンドが全国各地のライブハウスを細かくたくさん回る時代だったのだが、10-FEETマキシマム ザ ホルモンストレイテナーなど、周りのバンドも含めて盛り上がっていく様子にも、ワクワクさせられたものだ。Hi-STANDARDという憧れの対象が活動休止し、どこに進んでいいかわからない何年かを過ごしていたけれど、また新しい時代がはじまったんだ――そんな予感がした。

■決定的な名曲、名盤を作り上げ「僕らのバンド」へ

3rdアルバム『Pepperoni Quattro』は、さらに無敵感をみなぎらせ、彼らの仲間を増やしていく傑作となった。できたての状態のものを、彼らのスタッフに聴かせてもらった時のことは、今でもはっきりと覚えている。特に“Make A Wish”をラジカセで再生した時は、感情が無性にかき立てられ「これは名曲だ」と、ロッキング・オンの打ち合わせテーブルでまくし立てたものだ。仕事柄、ひと足先に様々なバンドの新曲を聴かせてもらう機会は、ありがたいことに多々あるのだが、「聴いた瞬間の感情や、その瞬間の周りの風景」まで鮮明に記憶している楽曲といえば、自分の中では真っ先に“Make A Wish”が挙げられる。今でもこの楽曲が愛され続けていることは言うまでもないが、最初から決定的な名曲だったのだ。この楽曲に限らず、『Pepperoni Quattro』は名曲の嵐。結成当初から抱いていた、いい音楽を鳴らしていればきっと何かに繋がるという意思が、より明確なかたちになった時期だった。
さらに4thアルバム『RIOT ON THE GRILL』は、当時の私は「破壊より強い笑顔が生んだ新型パンクアルバム」と書いていて――手前味噌ながらとても的確な表現だと思ったので再び使わせていただきたい。衝動的な昂ぶりを、しっかりポップソングに落とし込み、たくさんのキッズを巻き込んで、それぞれが現実――はっちゃけた“BBQ Riot Song”で幕を閉じるところも象徴的だが――に得たものを持ち帰れるような、「僕らの」バンド。彼らは、音楽性やスタンスを含めて、時代に名と音を刻む革新的なバンドになっていった。


■正直が故の変化、そして活動休止

しかし、名と音が広まると同時に、周囲にノイズも広がっていった。ここまで読んでいただければ(というか彼らの楽曲を聴いていれば)わかるように、彼らはとてもピュアに、いつも本音で突き進んできたバンドである。だからこそ、この時期はライブやインタビューで見せる表情が心配になることもあった。象徴的だったのはシングル『Space Sonic』で、ヘビーな曲調やシリアスな歌詞が際立つ、音楽的な進化を感じさせる一枚だったが、彼らの物語はどうなっていくのか、ドキドキ、ハラハラした思いが芽生えてきたことを覚えている。
そこから、5thアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』だ。今まで通りに正直に作り上げた結果、今までとは違うヘビーでカオスな一枚ができあがったと言えるのではないだろうか。ライブを湧き上がらせる力もあるけれど、それ以上に、聴く方も覚悟が必要と言っても過言ではないほど、それぞれの心の内に向き合わせるような、壮絶なロックアルバムだと思う。
そして2008年5月2日、彼らは活動休止を発表した。すでに日本のロックを引っ張る存在となっていた彼らの活動休止は、本当にセンセーショナルだったが……彼ららしいと思うのは、発表後も対バンからフェスまでたくさんのライブを行い、9月に行われた東阪ツアーまで歩みを止めなかったこと。キッズに向き合い続け、仲間と打ち上げを続け、いつも以上にいつもの彼らであり続けた。その様子は、いつもの自分たちであり続けるために活動を休止するのだ、ということを、身をもって伝えようとしているようにも見えた。

■そして10年後、「あいつら」との約束を果たし、復活

メンバーそれぞれが活動を続ける中で、10年の月日が過ぎた。そんな昨年5月10日、「THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018」が発表される。その時の歓喜と、ツアーの祝祭感は、彼ら史上最大級のエネルギーを感じるものではあったが、やっぱり彼らは、いつも通りだった……いや、10年ぶりに観るのに「いつも通り」って変かもしれないけれど、確かにそう感じたのだ。そのために、この10年間は必要なものだったのだということが腑に落ちるような気がした。そして彼らは、さらなる「いつも通り」に向かって、今年は対バンライブやフェスに出演している。
ここまで書いてきてつくづく思うのだけれど、本当に変わらないバンドである。いや、そりゃ人間だから年齢を重ねれば様々に変化はするし、もちろん音楽的な進化だってあるのだけれど、「正直」という一点においては変わらない。彼らはそれを守り続けるためにたぐいまれなる努力をしてきただろうし、だからこそ「あいつら」にとって信じられる存在であり続けていると思うのだ。
《最後に笑うのは正直な奴だけだ/出し抜いて 立ち回って/手に入れたのものはみんな/すぐに消えた》(“金星”)
15年以上も前に発表された楽曲の言葉を、その歴史によって、こんなにも説得力を持って響かせることができるバンドは、他にいるだろうか?
これからも、いろいろあるだろう。ただ、叶うならば、ずっとELLEGARDENの物語を見続けていきたい。なぜなら、彼ら以上に、人生に並走してくれるにふさわしいバンドは、なかなかいないのだから。(高橋美穂)

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