【JAPAN最新号】Mr.Childrenの渾身のブルースが涙を反転させる。光なき時代の日常賛歌=最新楽曲“turn over?”ロングレビュー

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号にMr.Childrenの新曲“turn over?”ロングレビューを掲載!

Mr.Childrenの渾身のブルースが涙を反転させる。
光なき時代の日常賛歌=最新楽曲“turn over?”ロングレビュー

文=高橋智樹


日本の音楽シーン最前線をひた走る開拓者であると同時に、Mr.Childrenはそれぞれの時代の嘆きや悲しみを真っ向から受け止める思索者でもあった。僕らのポップとブルースを四半世紀以上にわたって表舞台で体現し続けてきたMr.Childrenが、今なお世代を超えて切実に愛されているのは、その「ポップ」と「ブルース」が人間の本質と不可分のものであるという命題を、眩しい楽曲のひとつひとつに結実させてきたアーティストだからに他ならない。

そして――そんなMr.Childrenだからこそ描き得る楽曲がまたひとつ誕生した。9月16日に配信限定リリースされた新曲“turn over?”である。

昨年開催のドームツアー「Against All GRAVITY」で「このツアーが終わったら、すぐロンドンにレコーディングしに行きます」と桜井和寿が予告していた通り、U2スティングサム・スミスなど錚々たるアーティストを手掛けてきた名匠エンジニア/プロデューサー=スティーヴ・フィッツモーリスとともに楽曲制作に取り組んできたMr.Children。『映画ドラえもん のび太の新恐竜』W主題歌として3月に発売された両A面シングル『Birthday / 君と重ねたモノローグ』と同じく、今回の“turn over?”もその海外制作を通して生まれた新たな果実である。

9月15日に放送がスタートしたTBS系火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』の主題歌として書き下ろされた“turn over?”。《明け方の東京はしらけた表情で/眠れないボクのことを見下ろしてる》――モノクロの色彩感の中、五感に絡みつく都市の憂いを綴った冒頭のフレーズの時点で驚かされるのは、あたかも青年期のような瑞々しい響きを帯びた、桜井和寿の歌声とボーカリゼーションだ。(以下、本誌記事に続く)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年11月号より抜粋)


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『ROCKIN'ON JAPAN』2020年11月号
別冊LiSA