現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号にクリープハイプのライブレポートを掲載!
クリープハイプがクリープハイプでいてくれた夜。
そしてニューアルバム発表と同時に始まった次のクリープハイプ。
5年ぶりの「クリープハイプの日」ワンマンライブで見えたすべてを10ページで完全レポート!
文=小川智宏
「今日、やれて本当によかったと思います」。ライブも最終盤、22曲目の“exダーリン”を終えた尾崎世界観(Vo・G)はそう感想を口にした。大きな拍手で応える観客。客席を見渡して尾崎が言う。「拍手でしか表現できないのって、歯がゆいよね。でもこの関係性、めちゃくちゃエロいと思います」。こうして変態プレイみたいにして楽しんでいこう、と彼の言葉は続いた。どうにも尾崎世界観らしい言い回しだが、その感じはなんとなくわかった。3月に東京・大阪で開催されたツアー「大丈夫、一つになれないならせめて二つだけでいよう」以来約半年ぶり、そして9月8日「クリープハイプの日」に行われるワンマンライブとしては2016年以来実に5年ぶりとなった東京ガーデンシアターでのライブ「クリープハイプの日 2021 (仮)」。クリープハイプのライブは確かにエロかった。最高に肉体的で、グルーヴィーなクリープハイプだった。
2021年のクリープハイプは、リリースとしては4月2日に“四季”、8月23日に“しょうもな”の2曲を配信し、7月には“キケンナアソビ”をバンド初の7インチアナログ盤として発売した。それ以外ではフェスに出演したり、尾崎はテレビに出たりラジオに出たり雑誌に出たり、原付免許を取ろうとして試験に落ちたりしていた。つまり、2020年から引き続き、自分たちのペースと活動の余白をしっかり保ちつつ、コンスタントに何かを発信していたわけである。だが、この日のライブは、そんな中でもバンドに明らかな変化が生まれていたことを物語っていた。その変化はきっと、この日のライブ中にリリースが発表されたニューアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』(12月8日発売!)に刻まれているのだろうが、そのアルバムに至る現在のクリープハイプのモードがいったいどういうものなのか、この日の選曲、演奏、そして尾崎の歌には漏れ出ていた。それが「エロさ」の正体だったのかもしれない。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年11月号より抜粋)