現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号表紙巻頭に宮本浩次が登場!これは3部作の3枚目なんだぜって。
2枚目(『ROMANCE』)は素晴らしい演奏者たちのうえで、自分の好きな歌を歌う。
単純にシンガーとして自分はそこにいたっていうものを経て、この3枚目になってるわけだから
生きる。歌う。縦横無尽。
ソロとして3作目のアルバム『縦横無尽』、完成。
志高き音楽魂が、素直で自由に解き放たれた大傑作。宮本、すべてを語る!
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=Maciej Kucia
生きることそのものを歌詞とメロディに刻みつけ、それを強く大きく肯定的な光のような歌にして放つ、今作での宮本浩次。まるでこれまでのキャリアの集大成と呼べるほどの深さがあり、同時に、まるで何も持たずにここからすべてが始まるような軽やかさにも満ちている。
もう他に何も言う必要はない。宮本浩次、傑作アルバムの誕生である。
全13曲すべての曲を、素直で、自由で、どこまでも過激で同時にポップな、そんな宮本浩次がまさに縦横無尽に歌い尽くしている。
それを完璧に支えているのが小林武史の、宮本に対する深い理解に裏打ちされたアレンジであり、そのサウンドを実現するのが、名手とも言える高い演奏力とそれぞれ独自のセンスを持つレコーディングメンバーたちだ。
ソロとして活動をスタートしたのが52歳の時。そこから3年を経て、55歳の今、このソロ3作目『縦横無尽』は日本のポピュラーミュージックの到達点と言い切れる大傑作になった。
世界最大の、最高のロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズは、インタビュアーに「あなたにとってロックンロールとは何ですか?」と訊かれて「仕事だよ」と答えたというエピソードがある。
この巻頭インタビューの前半で、宮本はこのアルバム制作について何度も何度も「労働」という言葉で言い表している。
デビューして33年もの間、これだけ多くの人から求められ続ける中で、常に圧倒的な歌とパフォーマンスを繰り出す宮本の営みは、僕らから見れば偉大な「才能」、「芸術」、いや「奇跡」とすら思えるが、宮本はこのアルバム『縦横無尽』を語るインタビューにおいてそれを「労働」という言葉で語った。きっとそれがリアルで誠実な言葉なのだろう。
すべてを背負ったうえで「仕事」と呼べるからこそキースのロックンロールが世界一かっこいいように、もちろんそれと同じ意味であるというわけではないが、「労働」と言える境地で作られたからこそ、アルバム『縦横無尽』のパワー、クオリティ、完成度、メッセージ、世界観、そのすべてがとてつもないレベルに達している。
この大傑作を引っさげて、10月から7ヶ月間に渡る全国47都道府県ツアー「宮本浩次 TOUR 2021〜2022 日本全国縦横無尽」に宮本とツアーメンバーたちは旅立つ。もちろん本誌はしっかりとレポートしようと思っています。(総編集長 山崎洋一郎)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年11月号より抜粋)