「自分には才能がないから」――本人の言葉をもとに紐解く、今くじらのサウンドが求められる理由とは?
文=小川智宏
yamaの“春を告げる“、DISH//の“君の家しか知らない街で”、SixTONESの最新シングル曲“フィギュア”……歌い手からJ-POPの最前線まで、あらゆるシーンから今最も注目されているソングクリエイターのひとりと言っていいだろう。ボカロPとしてキャリアをスタートさせ、自身名義の楽曲のみならず、さまざまなアーティストに楽曲を提供することでその名前を知らしめてきたくじら。現在もまさに引く手あまたの状況だが、なぜ彼の生み出す楽曲はこんなにも求められるのか。パーソナルであるがゆえに普遍性を持ち、孤独であるがゆえに誰もが共感する切なさを浮かび上がらせる、そんなくじらの音楽性はどのようにして生まれたのか。本格的なインタビューは初めてだという彼の発言と、新しい感触の中にくじらの本質を鮮やかに浮かび上がらせる自身の歌唱による新曲“悪者”を軸に、時代が必要とするクリエイターの姿を明らかにしてみたいと思う。(小川智宏)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年11月号より抜粋)