公開されている音源は7曲、これまでのライブの回数は5回、もちろん本誌へは初登場、いやそれどころかこれが人生初のインタビュー、というまだまっさらな新人jo0jiをいきなりカラー6ページで紹介するのはもちろんこのアーティストが破格の存在だからだ。小さい頃、気軽に遊んだりするような友達を上手に作れなくて。そんなときに、音楽が自分の気持ちを代弁してくれている気がした。中島みゆきと清志郎は、特に俺の気持ちをわかってくれるみたいに思ってた
地元の鳥取の漁港で働きながら作った歌“不屈に花”がすぐに一部音楽関係者の間で話題になり、その後に公開されたEP『475』、続く“ランタン”、“escaper”もすべて素晴らしい内容だったことで急速に注目が集まっている。バズっているというのとは違って、より確かな形でアーティストとして支持が高まっていると言えるだろう。
jo0jiはジョージと読む。漁師の息子として漁師町に育ち、音楽活動とは無縁だったが、あるきっかけで初めて作ったその曲が“不屈に花”だった、という奇跡めいたスタートだが、それが奇跡でもなんでもないことはそれ以降の曲たちの個性とクオリティが証明している。
まるで友達に語りかけるように、友達の肩を叩くように、身近で温かくて、でも遠慮のない言葉を投げかけながら心に響く歌を編み上げていくjo0jiの表現は、今の音楽シーンの中で完全にオリジナルだ。恋愛ストーリーでもない、自虐の歌でもない、ファンタジーでもない、聴き手と素で対話するような歌。コミュニケーション不全が前提となっている今の時代に、ぶっきらぼうだけど熱いコミュニケーションが新たに生まれたことが僕は嬉しい。
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=服部恭平
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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