ラランド・サーヤがCLR名義でボーカルと作詞作曲を担うバンド。それが礼賛である。晩餐=川谷絵音、簸=木下哲、春日山=休日課長、foot vinegar=GOTOとともにバンドを結成したのが2021年。ラランドが『M-1グランプリ』に唯一のアマチュアコンビとして準決勝進出を果たし、世間から注目を集めるようになってから2年経った頃のこと。昨年は礼賛として1stアルバム『WHOOPEE』をリリースし、春秋に開催したツアーも全公演即完という形で成功させて、サーヤにとって自信を得た1年だったという。オチがつかない、ただふんわりモヤモヤしてるやつってどこにも出せなかったけど、礼賛を始めてからそれを全部曲にできる。めっちゃ健康になった
「個人事務所の社長」「ラランドのネタを書くほう」「ニシダの相方」としてのサーヤは、そもそも自信溢れるたくましい姿で新しい時代に独自の道を切り拓いている存在に見えるんじゃないかと思う。実際は、業界のレールから外れた道を突き進んでいることや、芸人が音楽をやっていることに対して様々な言葉を浴びせられる中で、自分の中に湧き上がる様々な感情と戦っていた。この3年間、本当は何に悩んでいたのか、それにどう対処したのか、そして何に救われたのか──そんな彼女の生き様を見ることができるのがEP『PEAK TIME』だ。
なぜサーヤは音楽をやるのか。その答えがこのインタビューにある。音楽があることで、彼女は心を健康的に保つことができている。サーヤにソロインタビューを行うことは、お笑いやバラエティ番組にはできなくて音楽にできることとは何か、という議論も経由することとなった。肩書きやパブリックイメージの奥にある人間の多面性を表現できるものこそ音楽であり、礼賛の音楽からは、サーヤの心の実態を知ることができる。もちろん、コミカルさやエロも混ぜ込むのがサーヤであり礼賛だ。サーヤが音楽の中でさらけだしている生き様を知ってほしい。
インタビュー=矢島由佳子
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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