「今まで夏フェスとかで人が集まってくれてたら、他のバンドと間違ってんじゃないの?とか言ってましたけど、もうそういうのやめます。クリープハイプを観に来たあなたたちに、最高の30分を約束します!」という尾崎世界観(Vo・G)の、覚悟のMCで始まった、クリープハイプのアクト。1曲目の“愛の標識”からハイトーン・ヴォイスもアグレッシヴなサウンドもフルスロットル! 間髪置かずに“イノチミジカシコイセヨオトメ”のギター・リフが鳴り響くと、たくさんのオーディエンスが小刻みに揺れながら腕を振り上げる。絶望感を全力で塗り替えていくようなクリープハイプのロックにはリアルと祈りが鮮やかに入り混じっていて、更にヒリヒリとした感情を描く“手と手”でCOSMO STAGEの温度はグッと上昇。まるで日常においては押さえ込んでいた感情が堰を切ったように溢れ出すような、クリープハイプのライヴにはそんな魅力がある。
「今年はこの曲に、色んな場所に連れてってもらいました」と思い入れたっぷりに演奏されたのは“オレンジ”。その先へ、その先へ、と願って歌われる彼らのアンセムが、大きく広がった手拍子の波に乗り、オレンジの照明が当たってキラキラと輝いた。続く“おやすみ泣き声、さよなら歌姫”も切実な内容だからこそ、それを決死の覚悟と勇気で彼らが鳴らすからこそ、ここにいる多くのオーディエンスが賛同するのだ。ラストの“HE IS MINE”も、大声で《愛 愛 愛 愛 愛してない訳/無い 無い 無いけどさ》なんて地団太を踏むような歌詞と《セックスしよう》の掛け声で盛り上がる。誰かに言い残したこととか、誰にも言えない感情とか、そんなものを年末に全部ぶちまけるようなクリープハイプとオーディエンスの、エネルギーが清々しいほどに交わったライヴだった。(上野三樹)
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