「トイス!! シワス!! よろしくー！」と今回も始まった、DJという名の不法集会請負人、或いは、恐らく日本で最もブースに収まっている時間が短いDJ＝ハヤシヒロユキの時間。“日本印度化計画”そして“踊るダメ人間”のダメ・ジャンプから、《（それでも生きていかざるをえない！）》の台詞の直後にユニコーン“大迷惑”が連なるという、お馴染みでありながらも涙を禁じ得ない繋ぎ方である。レピッシュ“水溶性”あたりまでばんばか跳ねながらカラオケよろしく歌いまくっていたかと思えば、ルースターズ“恋をしようよ”でエア・アップライトベースを弾き、スカパラでブブゼラを吹き、ピンク・レディー“サウスポー”では夢中になってエア・マリンバを叩きまくる。DJというのは普通、ポップ・ミュージックの好ましい楽しみ方を提示してくれる人たちなのかも知れませんが、ハヤシヒロユキのDJに限ってはそういうものではありません。「やろうと思えばここまで出来る」「やれるものならやってみろ」という類いの、一種の己との戦いなのです。ヘリウムガスを吸入して声を変えずに“林檎殺人事件”を歌い切るトライアルはあえなく失敗、THE BOOM“風になりたい”ではサンバのリズムに「マルシアみたいに踊るんだー！ 踊れよ！ 俺が一番恥ずかしいんだ！」と怒り始める。「踊れよ」って口に出すDJって凄いな。X“オルガスム”ではPOLYSICSのヤノがXサインの指示出しをするためにゲスト出演し、フミは相川七瀬“夢見る少女じゃいられない”をノリノリで歌う。“ハイスクールララバイ”では、ヤノが歌う間にビートに合わせてハヤシとフミがケンカみたいな約束組手をやっているのだが、２コーラス目でハヤシがブロックできるまでに成長を遂げる。芸が細かい。クライマックスは定番“君は天然色”から“シーソーゲーム”にかけての熱唱だ。なんとなく感動してしまうのはなぜだろう。「ありがとうー！ 12月31日、年明け１発目のEARTH STAGEで会おうぜー！」とハヤシは告げていた。そちらはPOLYSICSでの出演。嵐はもう一度やってきます。（小池宏和）
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