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    『シン・ウルトラマン』を観た。とてつもない傑作!!(ネタバレなしで語ります)

    1時間50分強、かなりの期待をもって観ても、それを乗り越えてくる面白さが途切れずに続くとてつもない傑作だった。
    約6年前、『シン・ゴジラ』を観て僕は以下のように書いた。
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    現在の日本の真実の姿を、ときに皮肉たっぷりに批評的に描いた問題作であると同時に、怪獣映画としての純粋な面白さを極限まで追求した最高のエンターテインメント作。
    リアルに徹底的に向き合った先に、最強のファンタジーを生み出し、さらにその先に「未来への希望」という今、感じるのがとても難しくなっているものを強く実感させてくれる、そんな映画だ。
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    今、読み返して『シン・ウルトラマン』にもほぼ同じ言葉が当てはまると思った。
    少し違うとしたらその批評性が問題提起というよりも、一流のユーモアを帯びた怒涛のエンターテインメントとして感じられるところだろうか。
    いずれにせよ、この2022年現在における最大級の批評性と、ユーモアと、エンターテイメント性をもって最新型のリアルとファンタジーの融合を実現して、6年前よりもさらに感じることが難しくなった「未来への希望」を強く実感させてくれる作品であることは間違いない。
    また当然ながらゴジラとウルトラマンでは、それぞれに異なる根源的なメッセージが込められていて、それを深く丁寧に、それでいてド派手に描き分けている(そう、エヴァンゲリオン然りメッセージをド派手に描けるのは庵野秀明のすごいところだ!)のも胸が熱くなったポイントだ。

    そして既に大きな話題となっている米津玄師の主題歌“M八七”は、映画を観たあとだとより一層熱を帯びて聴こえる。
    それはウルトラマンの持っている根源的なメッセージのことも、この『シン・ウルトラマン』という映画がいかに全身全霊を込めてそれを描いているかも、米津玄師がよくわかったうえで覚悟を決めて書いた曲だからだ。


    (古河晋)


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