スピッツ全アルバムレビュー 5th『空の飛び方』【『醒めない』リリース記念】

2016年7月27日(水)に15thアルバム『醒めない』をリリースするスピッツ。
RO69ではリリースを記念して、これまでの全アルバムを振り返るディスクレビュー特集を行います。
『醒めない』リリースまで、1日1作品ずつレビューを掲載します。
本日の作品は1994年発表の5th『空の飛び方』です。

スピッツ全アルバムレビュー 5th『空の飛び方』【『醒めない』リリース記念】

スピッツのギターポップとしての鮮やかさや奥ゆかしい歌詞世界は、2ndアルバム『名前をつけてやる』の時点でほとんど基盤が完成していた。それは、80年代~90年代初頭の海外ギターポップ名盤にもまったく見劣りしない精度の高さを誇っていたが、セールス的には今ひとつ振るわなかった。

そこで、彼らは4th『Crispy!』あたりから洋楽的な作法を抑え、いわゆるJ-POPの土俵で結果を残すための創作に挑戦し始める。彼らの狙いは見事的中し、シングル“空も飛べるはず”の大成功に導かれた『空の飛び方』では、オリコンのウィークリーチャートで当時の自身最高4位を叩き出した。

当時の僕は学生で、有線の流れる環境でアルバイトをしていたのだけれど、“空も飛べるはず”、“青い車”、“スパイダー”(アルバムからのリカット)といったシングル表題曲のみならず、“たまご”や“恋は夕暮れ”、“不死身のビーナス”といったアルバム曲までもが、ひっきりなしにプレイされていたのを思い出す。まさに、快進撃の始まりであった。個人的には、気の遠のくほど官能的で美しい、“ヘチマの花”が好きだ。

サウンド面では、バランスが安定していてボーカルがハッキリと聴こえる、日本人好みな作風。しかしそれ以上に改めて思うのは、愛の迷宮を潜り抜けてゆく草野マサムネ(Vo・G)の歌声のトーンや詩情が、日本語の湿度や硬度といった風土/文化的な側面に恐ろしくフィットしているということだ。これは現在の日本語ロックを語る上でも極めて重要なポイントだし、その後のスピッツの揺るぎない活躍ぶりを支える発明となっていたはずである。(小池宏和)


なお、スピッツは2016年7月30日(土)発売『ROCKIN'ON JAPAN 9月号』の表紙に登場します。
お楽しみに!

公開済の作品はこちら
2016年7月15日 4th『Crispy!』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145764
2016年7月14日 3rd『惑星のかけら』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145713
2016年7月13日 2nd『名前をつけてやる』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145667
2016年7月12日 1st『スピッツ』:http://ro69.jp/blog/ro69plus/145597
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