現在発売中のロッキング・オン7月号では、メタリカの最新ライブレポートを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=伊藤政則
パリは初夏の澄み切った空気に包まれていた。パリの北郊に位置する、スタジアム、スタッド・ド・フランスは、8万人という観客を呑み込みながら、騒然とした色合いはなく、誰もがリラックスしたムードだった。
メタリカの『M72 World Tour』がアムステルダムからスタートした。「ノー・リピート・ウィークエンド」という度肝を抜く企画が、このツアーの目玉になっている。各都市で行われる2日間のコンサートは、中日をオフにし、例えば、金曜日と日曜日に実施するというスタイルを選択している。これを彼らはブックエンド式と呼んでいる。アムステルダムに続くパリ公演は、何故か水曜日と金曜日。関係者に事情を訊くと、木曜日は“キリスト昇天の日”で祝日。4連休をウィークエンドに見立てた戦略でコンサートを仕掛けたという。
スタッド・ド・フランスは巨大だ。その広いアリーナに、上部に円型スクリーンを取り付けた支柱を、ラウンドステージを守護するように、左右に合計8本を配置させている。実はこの方式は何年も前から実践しているが、それをスタジアム用にアップデイトさせていた。巨大なオブジェのようだ。その支柱のステージと並行する位置に、柵で囲ったスペースを作ってあり、ゲストはそこでライブを観ることができる。上部スクリーンに現在進行形のライブ映像や、曲にシンクロさせた映像を映し出して、広大な空間を一瞬のうちに共有させる、いわば、ある種のマジックを生み出す演出が用意されている。
結論を先に言わせてもらうが、改めて、このパリ公演で思い知らされたのが、メタリカというバンドの偉大なる特殊性であった。ブラックホールのような、底知れぬバンドの吸引力の威力なのか、あるいは、メンバーの4人が結集した時に生まれる化学反応の独創的作用なのか。メタリカのプレイが始まり、しばらくすると、信じられないことに、巨大なスタジアムが、何とライブハウス化していくのである(以下、本誌記事へ続く)
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