現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』3月号表紙巻頭に常田大希が登場!生意気なことを言えば……
どんなものでも作れるんですよ、正直言って。
10人いて、9人が「いい曲だね」って言うようなツボもわかりますし、すごい音楽好きが「かっこいいね」って言うツボも、わかったうえで、誰とどういうコミュニケーションを取るか、みたいなことで
millennium parade 常田大希
半生を語る2万字インタビュー
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=Maciej Kucia
King Gnuがこの日本で破格の存在であることはあらゆる数字や評価によってとっくに証明されているが、このmillennium paradeのファーストアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』を聴けば、その認識がまったく不十分であることがわかるだろう。
いろいろな意味において、このアルバムはKing Gnuを超えている。
音の先鋭性、音楽イディオムの豊富さ、ビートやアンサンブルの緻密さ、音像のスケール感などによって、King Gnuですら描ききれていない音楽の未来図をこのアルバムは鮮明に描ききっている。しかも、可能な限りポップな仕上がりでもって。
だが、もっと驚くべきことは、おそらくこの先いつか出るKing Gnuのアルバムは、このミレパのアルバムをさらに超えるアルバムになるに違いないということだ。
地球の大気圏を脱して、引力圏から解き放たれて宇宙に向かって加速する2艘の宇宙飛行艇のように、King Gnuとmillennium paradeはこれまでの日本の音楽シーンのレベルとは別次元の高度と速度で未来へと進んでいるのだ。
そして、そのふたつの音楽集団を率いるのが常田大希だ。
クラシック、ジャズ、ロック、エレクトロの本質と技術を習得し、日本、アジア、欧米をフラットに捉える世界地図を装着し、音の先鋭性も人間の喜怒哀楽も等しく音楽へと落とし込める感性を持ち、そして音楽を「売る」のではなく「でっかく鳴らす」本能的な力を持つ、常田大希はこれまでの「J-POP」の世界にはいなかったスケール感の男だ。
King Gnuとmillennium paradeが、それぞれベクトルは異なるがどちらも日本の音楽シーンをネクストレベルに引き上げるほどのポテンシャルを持っているのは、常田大希の音楽的な知識と経験と才能、そして何より音楽に対するビジョンの大きさゆえである。
millennium paradeがアルバムという形でその全貌を明らかにするこのタイミングで、「常田大希 2万字インタビュー」を敢行した。
クラシックとジャズにずっと接していた幼少期から、ロックにどっぷり浸かった中学、高校時代、そして東京藝術大学時代にエレクトロ、そして再びジャズに接していく中で、それらの音楽体験のひとつひとつをすべてロジカルに、テクニカルに、センシティブに自分のものにしていった常田の音楽人生はやはり常人レベルではない。
そうやって培った経験と知識とスキルのすべてを駆使しながら、常田はまったく新しい音楽の未来のビジョンを描こうとしている。
それは革命と言ってもいいと思う。
2020年1月にKing Gnu『CEREMONY』が出て、2021年2月にmillennium parade『THE MILLENNIUM PARADE』が出る。
新しい時代の始まりをこれほど実感できることはない。(総編集長 山崎洋一郎)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年3月号より抜粋)