K:ream、真逆のふたりが描くロックバンドの夢

K:ream、真逆のふたりが描くロックバンドの夢
『ROCKIN'ON JAPAN』最新号(2021年3月号)New Comerより

今やあらゆる音楽の手法やフォーマットが年代を超えて並列に存在する中で、ロックバンドという表現のアイデンティティ自体がゲシュタルト崩壊しつつある。そんな時代にあってもなお、ここまで情熱的かつストイックにロックバンドのロマンを追い求めているアーティストが新たに生まれてくるのもまた、ロックというアートの必然なのかもしれない――。そんなことを思わせるだけの、ある種の神秘性にも似た妖しい誘引力を、このK:reamという二人組の鳴らす音楽は確かに備えている。

内川祐(Vo・Pf)と鶴田龍之介(G・Vo)のふたりによって2018年4月に結成された、名古屋発のロックバンド=K:ream。幼少期からバイオリンを学び、父親のビートルズボブ・ディランなどのレコードに出会ってロックに目覚め、バンドで作詞作曲&ボーカルを務めるも、理想と現実のギャップに葛藤したという鶴田。J-POPまっしぐらの少年時代を経て、ギターを手にシンガーソングライターとしてストリートや舞台に立ち、己の内省を歌に託してきた内川。一見して真逆のルーツと背景を持つふたりが刺激し合う、「運命共同体」的な一枚岩感とは一線を画したK:reamの関係性はしかし、だからこそ常に謎めいたスリルをその楽曲とサウンドに与え続けている。

2月3日にデジタルリリースされる彼らの1st EPのタイトルは『asymmetry』。非対称的なふたりゆえの「ロックバンド・K:ream」の本質そのものの作品だ。《流行曲は実に無力だ/あなたは影で泣いてる》という嘆きを通して、それでも音楽に向き合わざるを得ない自分たちの切実なる業を浮き彫りにした“Clown -道化-”。魂の軋みの如き鶴田のギターの音像と《この世界は変わらない/銃を構えて 撃ち抜けよ》という内川の熱唱がせめぎ合う“Eternal”。“Goddess”に雄大に広がるロックの音風景、オルタナ系サウンドとファルセットが織り成す“Blue”のメランコリア……。それぞれに異なる輝きと奥行きを見せる今作の4曲はそのまま、2021年におけるロックバンドの無限の可能性をどこまでも明快に象徴している。(高橋智樹)




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