約一年ぶりの「ライブ」で、大いに歌う!
彼女が恋い焦がれた久しぶりの「有観客」――新曲”スーパーガール”も披露した、極上のたまアリ公演を徹底レポート
文=杉浦美恵 撮影=永峰拓也
昨年あいみょんが「最初で最後」と、無観客のオンラインライブを行ったのが7月。アコースティックギターを手に、ひとりきりで弾き語りのライブを行ったのは日比谷野音だった。雨上がりの野音の客席。誰もいないあの空間。私は画面越しに観たあの景色を忘れることはないだろう。もちろんあの日のあいみょんのライブ、歌声は素晴らしかった。嘘偽りのない「今」のあいみょんの気持ちがそのまま歌に込もっているかのようで、だからこそ感動的だったし、でもその気持ちと同じくらい切なかった。あいみょんには、この形態がこれからのライブのスタンダードだとは認めたくないという思いもあっただろう。かと言って、またもとのようになんの不安や心配もなくライブを楽しめる日が、そうそうすぐにはやってこないであろうことも薄々は感じとっていたはずだ。そのやり切れなさを、あいみょんは包み隠さず表現した。というより、自身の感情には嘘がつけなかったと言うほうが正しいかもしれない。だからやはりあのライブは切なかった。「最初で最後」だったらほんとにいいと願った。
そんなこともあって、その後、有観客でライブを行うための対策やメソッドが世間的にも徐々に確立されてきたこともあり、「AIMYON TOUR 2020 “ミート・ミート”」を行うことが可能になったことは(いくつかの公演は残念ながら中止となってしまったけれど)、何より嬉しいニュースだったし、「どうか、また中止や延期にならないで」と祈るような気持ちで当日を迎えたファンも多かったはずだ。幸運なことに私もツアー中盤のさいたまスーパーアリーナ公演2日目のライブを現地で観ることができた。入場から退場まで感染症対策は徹底的になされていて、座席は1名分ずつの間隔を空けながら、人数を制限しての客入れ。それでも広い会場に静かにオーディエンスが集まっていく光景は、それだけでなんだか胸が熱くなる。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年3月号より抜粋)