現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』3月号にSEKAI NO OWARIが登場!「ラブ」と「ソング」を分けて考えてしまうから、いわゆる恋愛ソングじゃなくなっちゃう。愛の歌って、手を握りたいとか抱きしめたいみたいなことが自分の言葉からまったく出てこなかった(Fukase)
決定版ロングインタビュー
セカオワ、夢と戦いの10曲
“幻の命”から“LOVE SONG”まで――
4人が塗り替えてきたもの、その革命の足跡を、10の名曲で今振り返る
インタビュー=小栁大輔 撮影=オノツトム
“幻の命”“スターライトパレート”といった初期の名曲から“RPG”や“炎と森のカーニバル”“Dragon Night”といった大ブレイクのきっかけになった楽曲、そして現時点での最新アルバム『Eye』『Lip』から選んだ“LOVE SONG”まで、「セカオワの10曲」というテーマでインタビューをさせてもらった。
言うまでもなく、すべてセカオワの代表曲である。となると当然、メンバーにとっては様々な機会に、多くの話をしてきた楽曲たち、ということになる。事実、“RPG”なんかは、JAPANでも何度話を訊いたんだろう――と思い、過去の記事をちょっと掘ってみたが、4、5回遡ったあたりで、もういいやとやめてしまった。いずれにせよ、めちゃくちゃこすりまくってきたテーマなのである。
しかし、今回のインタビューを読んでもらえば分かる通り、驚くほどに、新鮮な対話が飛び出してくるのである。メンバーも話すそばから、「あ、これ初めて話したな」などと言っている。インタビュアーとしては、ありがたやありがたやと素直に感謝する一方で、「そうでしょ? まだまだ話はあるでしょ?」という確信も抱いていたりする。
つまり、優れたポップソングとはそういうものだと思うのだ。優れたポップソングは多くの場合、世の中の真理を――もうちょっと言うなら、物事の本質、愛の定義、人間のリアル、善悪の裏表、光と闇の境界線、示唆的な死生観など、限りなくシンプルで、しかしどこまでも深淵めいたテーマを言い当てている。“幻の命”でデビューし、10年のキャリアをして、“LOVE SONG”という新たな名曲を生み出してきたセカオワであればなおさらのことだ。“RPG”にはまだ語るべきテーマが眠っている。いや、当時は当時の、今なら今の、発表から何年も経ち、その分の人生を生きてきた4人とリスナーだからこそ共有できる、真新しい真実が生まれているはずだ、と僕は思うのである。
あらためて、セカオワはすごいバンドだ。生と死、光と影、有形無形の愛の形、人生の意味、戦争と神、ファンタジーとシビアな現実――そういった大上段に思えるようなテーマを選び、J-POPとして愛されつつも決して消費されない普遍性をすべての曲に与え、文字通り老若男女の琴線を等しく震わせるポップソングを作り続けてきたのである。セカオワがいる世界と彼らがいない世界では、生の意味もファンタジーの意味も大きく異なっていたんじゃないだろうか。
少なくとも、僕の中では一ミリの誇張もなく、そうなのだ。
2月10日にリリースされるベストアルバムから選んだ10曲である。セカオワと過ごしてきた様々な日々を思い返しながら読んでもらえればとても嬉しい。(小栁大輔)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年3月号より抜粋)