【JAPAN最新号】あいみょん、新曲“ハート”を語る――「私には、世の中はラブソング不足やっていう謎の持論がある」

私には、世の中はラブソング不足やっていう謎の持論がある。
ラブソングなんですよ、世の中の曲すべてにおいて。
ただ、スローテンポで、言葉がハキハキ聴こえるラブソングは少ない気がする

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号にあいみょんが登場!

新曲“ハート”を語る

インタビュー=小栁大輔 撮影=オノツトム


あいみょんの今回の曲も、もうなんの文句もなく、ただただ「いい曲」としか言いようがないくらいの本当に素晴らしい曲である。恋をしている最中の、いつもどこか身構えて、落ち度や引かれるところのないように常に自分を客観的に見つめて備えている感じも、その一方にある、ふわふわ気持ちよく浮足立ちながら、そうやってピュアに浮足立つ自分を怖く思う感じも、でも、やっぱりなんだかんだ幸せな日々が続く喜びも、そんな日々が続いてほしい、そのために自分にできる努力はすべて頑張りたいと願う静かな思いも、恋にまつわるエトセトラが見事に描き込まれていて、さすがあいみょん、さすがのラブソング、さすがのバラードとしか言いようがない。のだが、さらに特筆したいのはあいみょんの歌である。普段のあいみょん像からしても絶妙に細く高く、そして切なく淡くチューニングされた歌声。たった4分半の時間がこれほど豊かに、感情的に、ドラマチックにセンチメンタルに過ごすことができる4分半になってしまうのは、この歌声による共感が大きいと思う。それ自体が胸を打つほど、切なく揺れる豊かな歌声が、解像度高く描かれた恋の世界を歌う時、それは究極の追体験になる。それをポップソングのマジックなのだとするなら、“ハート”はやはり、当代随一の魔法使いによる最高の一手なのだと思う。

カップリングの“森のくまさん”も名曲でありまして、連続で聴いてほしいと切に願うばかりであります。あいみょんは来月も登場してくれます。(小栁大輔)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年1月号より抜粋)



『ROCKIN’ON JAPAN』2022年1月号
別冊 クリープハイプ