現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号にアイナ・ジ・エンドが登場!ファーストでもうやりきったから、病んでても仕方なくない?って思ってきて。
そこからですかね、《生き抜こう》って言葉を使えたり、前向きになっていったのは
セカンドアルバム『THE ZOMBIE』を語る
インタビュー=小栁大輔 撮影=NAKA
全曲、自らによる作詞作曲で作り上げた2枚目のアルバムが完成した。全17曲。すごいボリュームである。BiSHに全力で向き合いながら、ソロのための楽曲を作り、歌い、それぞれのツアーをやり、フェスやイベントにもたくさん出て、アイナ・ジ・エンドはこの華奢な身体に一体どれだけの表現欲求と集中力を詰め込んでいるんだろうと、取材やライブの場で会うたびに思う。今のアイナは研ぎ澄まされていて、表現の精度と深度をひたすらに高め、掘り下げていく極限の季節にいる。『THE ZOMBIE』も才気が炸裂した濃厚な作品になっている。
特に、バラード“残して”と、アルバム最後に収録されている“ペチカの夜”は素晴らしい。生きることで手元に残されていくかすかな実感のようなもの――それは、僕の言葉で言うなら、日々生きることで溜まる澱(おり)のようなもの、ということになるのだが、アイナはその実感を、「本当はもっと楽しいよなっていうのが、まだ諦めきれない気持ち」と表現する。この2曲に鳴っているのは、そんなかすかな希望や、消すことのできない生への渇望、と称すべき何かであって、それはあらゆる「作品」が少なからず思考すべき真理、という感じもする。アイナ・ジ・エンドという生命体の、ダークサイドを前作だとするなら、ブライトサイドとも言える開放感を持っている本作だが、そんなポップアルバムに「ゾンビ」と名付ける感性も含めて、やはりアイナは最高で、かっこいいなと思う。(小栁大輔)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年1月号より抜粋)